目次
【プロローグ】
私は小さな地方都市に住む、ごく普通のサラリーマンだ。
仕事と家の往復だけの平凡な毎日。趣味も特になく、淡々と過ぎる日常に特別なことは何もない。
そんな私の人生が、ある日突然、奇妙な出来事によって変わった。
きっかけは、いつも通る帰り道で“それ”を見つけたことだった。
【出会い】
その日は残業が長引き、終電ギリギリで帰宅途中だった。
自宅までの近道として、普段は人通りの少ない公園を通り抜ける。
薄暗い街灯の下で、何かがもぞもぞと動いているのが目に入った。
最初は猫かと思ったが、近づくと明らかに違った。
全身が淡い灰色で、丸い体に細い手足がちょこんと生えている。
顔のような部分には目も鼻もなく、小さな穴が一つだけぽつんと開いている。
「…なんだ、これ?」
好奇心に駆られて、思わず手を伸ばすと、それは私の指先に吸い付くようにしがみついた。
【奇妙な生活の始まり】
家に持ち帰って観察してみても、やはり正体はわからなかった。
不思議なことに、“それ”は鳴き声も出さず、ただじっと私を見つめているだけ。
食べ物を与えても反応はなく、眠る様子もない。
だが、気づくと私は不思議な感覚に包まれていた。
疲れが取れ、心が穏やかになっていく。
「…なんか、調子がいいな。」
仕事のストレスも気にならなくなり、体力も以前よりも明らかに回復していた。
まるで、奇妙な生き物が私の“何か”を癒してくれているかのようだった。
【異変】
しかし、ある日を境に、奇妙な出来事が起こり始めた。
部屋の壁に、見覚えのない模様が浮かび上がってきたのだ。
まるで、古代の象形文字のような、不規則な線や記号が無数に刻まれている。
さらに、鏡を覗くと――
自分の目の奥にも、同じ模様が浮かび上がっていることに気づいた。
「…これ、どういうことだ?」
そして、気づいた。
“それ”が、日に日に大きくなっている。
最初は手のひらサイズだったのに、今では子猫ほどの大きさに膨らんでいた。
【不安の正体】
ある晩、夢を見た。
私は無数の目に囲まれ、何かに見下ろされている。
耳元で囁かれる言葉は理解できないのに、なぜか「お前は選ばれた」という意味だけが伝わってきた。
目を覚ますと、“それ”が私の胸の上に座っていた。
何も言わず、ただじっとこちらを見つめるその穴のような顔が――笑っているように見えた。
【エピローグ】
今、私はもう会社へ行っていない。
何も食べず、眠ることもない。
でも不思議と、空腹も疲れも感じない。
ただ、日に日に部屋の壁と自分の体に模様が増えている。
“それ”はもう、私と同じくらいの大きさになった。
私の中の何かを吸い取って、成長しているのかもしれない。
でも、もうそんなことはどうでもいい。
今の私は、ただ“それ”と一緒にいることが幸せだから。
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