怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

悪霊が棲む部屋 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

私は大学進学を機に、地方都市の古いワンルームマンションで一人暮らしを始めた。

家賃が格安だったのは、少し古びているからだと思っていたが――それには理由があった。

入居してから数日後、私はこの部屋に「何か」がいることに気づき始めた。

【最初の異変】

引っ越し当初は特に問題はなかった。

新しい生活に慣れることが楽しく、多少の物音も「古い建物だから仕方ない」と気にしなかった。

しかし、ある夜。

ふと目を覚ますと、部屋の隅に置いた姿見の鏡に違和感を覚えた。

暗闇の中で、鏡の中に自分以外の影が映っているように見えたのだ。

「気のせいだろう…」

そう思い、布団に潜り込んだ。

だが、その日から小さな異変が続くようになった。

【重なる奇妙な出来事】

夜中に押入れの扉が少しだけ開いていることに気づく。
誰もいないはずの部屋で、足音のような音が聞こえる。
机の上のペンが、勝手に転がる。
最初は「気のせい」で片付けようとした。

しかし、ある晩、決定的な出来事が起こった。

【姿を現すモノ】

その夜、私は夜更かしをしてレポートを書いていた。

ふと視線を感じ、顔を上げると――押入れの隙間から、誰かがこちらを覗いていた。

真っ黒な目、土気色の皮膚、異常に細長い顔。

心臓が止まりそうになり、思わず立ち上がると、その「何か」は押入れの中へスッと消えた。

私は恐怖で体が硬直したまま、朝まで一睡もできなかった。

【お祓いと真実】

翌日、大学の友人に相談すると、オカルト好きな友人が「知り合いの霊能者を紹介する」と言ってきた。

正直、半信半疑だったが、藁にもすがる思いでその霊能者に来てもらった。

部屋に入った瞬間、霊能者の顔が青ざめた。

「ここには…かなり強い『悪霊』がいる。」

彼は簡単な儀式を始めたが、突然、部屋全体が異常な冷気に包まれた。

そして――押入れがバタン!と勝手に開いた。

中には、誰もいないはずなのに、確かに「何か」がいた。

霊能者は叫んだ。

「この部屋は…もう、住んではいけない!」

【エピローグ】

私はすぐにその部屋を退去した。

後日、不動産会社の担当者に話を聞くと、以前の住人がその押入れの中で亡くなっていたことがわかった。

彼は孤独死だったが、発見された時、押入れの中に隠れるようにしていたという。

彼が何から逃げようとしていたのか――それは、今となっては知ることができない。

ただ一つ確かなのは――

あの部屋には、まだ「何か」が棲んでいる。

あなたがもし、格安の部屋を見つけたら――その理由を確認した方がいいかもしれない。



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