友人の山田が、新しく引っ越したマンションの話をしてくれたのは、居酒屋での飲み会の席だった。
「家賃も安いし、駅近で最高だよ。でも、ちょっと気味悪いことがあってさ……」
最初は酔いの勢いで笑い話かと思っていた。だが、山田が語るその内容は、徐々に場の空気を凍り付かせた。
目次
異変の始まり
山田が引っ越したのは、築30年ほどの古いマンション。安くて便利な場所だったが、特に「事故物件」というわけでもなかった。
最初の異変は、入居して3日目に起きた。
夜、ベッドに横になっていると、壁の向こう側から「コツ、コツ」と小さなノック音が聞こえてくる。
「隣の住人かな?」
そう思って気にしなかったが、音は次第に頻繁になっていった。しかも、決まって深夜2時頃にだけ鳴るのだ。
ある日、気になって隣人に聞いてみたが――
「え? 私、夜はずっと外出してるんですけど。」
隣の住人は、その時間帯に家にいないと言う。
見えない何か
それでも気にせず過ごしていた山田だったが、次第に奇妙な現象が増えていった。
・朝起きると、テーブルの上の物が勝手に動いている。
・誰もいないはずの部屋で、人の足音が聞こえる。
・鏡を見ると、自分の後ろに黒い影が立っていることがある。
そして極めつけは、ある晩のことだった。
2時の訪問者
その夜も、深夜2時になると「コツ、コツ」という音が聞こえてきた。
「またか……」
うんざりしながらも、山田はついに壁を叩き返してみた。
すると――
「コン、コン、コン」
すぐに壁の向こうから、まるで応えるようにノックが返ってきた。
驚いた山田は、隣の部屋に行きインターホンを押したが、やはり誰もいなかった。
「これはヤバいかも……」
そう感じた山田は、スマホで部屋の様子を録画することにした。カメラをテーブルに置き、寝室へ向かう。
録画に映ったもの
翌朝、山田は録画を確認した。
最初は何も映っていない。ただの静かな部屋。しかし、2時を過ぎたあたりで、異変が起きた。
テーブルの上に置かれたコップが、ひとりでに動き始めたのだ。
そして、カメラの端に――
黒い影がスッと横切る。
よく見ると、それは人の形をしていた。 だが、顔はぼんやりとしていて、手足が異常に長い。
山田は震えながら動画を消した。怖くて誰にも見せることができなかったという。
最後の夜
山田がその部屋から逃げることを決意したのは、録画から数日後のことだった。
深夜2時、また壁のノックが聞こえた。
しかし、今回は違った。
「コン、コン、コン……」
その音が、部屋の中から聞こえてきた。
振り返ると、玄関のドアが少しだけ開いている。風のせいだと思いたかった。
だが、その隙間から――
真っ黒な手が、ゆっくりと伸びてきた。
山田は叫び声を上げ、無我夢中で外に逃げ出した。
部屋の真実
後日、不動産会社に問い合わせた山田は、衝撃の事実を知る。
その部屋は以前、「孤独死」があった事故物件だったという。
隠された事故物件だったのだ。
山田はすぐに引っ越したが、今でも午前2時になると必ず目が覚めてしまうと言う。
あの部屋で、何かが彼を呼び続けているのかもしれない――。
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