怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

気味が悪いトンネルの先で 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

「このトンネル、なんか気味が悪いな……。」

車を走らせていると、ふいに目に入ったのは、山の中腹にぽっかりと開いた古びたトンネル。

カーナビには表示されていない。

周囲には人影もない。

でも、なぜか引き寄せられるように車を止めてしまった。

第一章:地図にないトンネル

週末、気晴らしに一人でドライブに出かけた。

山道を走っていると、ふと 道の脇に小さなトンネル があるのに気づいた。

看板も標識もない。

コンクリートはひび割れ、入り口は真っ暗で奥がまったく見えない。

「おかしいな、こんな道、地図にはなかったはず……。」

怖さ半分、好奇心半分。

私は車をトンネルへと進めた。

第二章:異様な静けさ

トンネルに入ると、すぐに奇妙な違和感 に気づいた。

エンジン音が、やけに響く。

まるで、音が吸い込まれていくような感覚。

「短いトンネルだろう。」

そう思って進むが、出口が見えない。

それどころか、後ろを振り返っても、入り口が消えていた。

「……あれ?」

暗闇の中で、冷たい汗が背中を伝った。

第三章:現れた“出口”

しばらく走ると、ようやく小さな光が見えた。

安堵しながらトンネルを抜けると、見たことのない風景 が広がっていた。

空は薄暗く、周囲には廃墟のような建物が並んでいる。

しかし、どれも無人で、異様なほど静か。

「こんな場所、あったか?」

スマホのGPSを確認するが、地図のない場所を走っていた。

焦りながら車を走らせるが、道はどこまでも続き、景色は少しも変わらない。

第四章:すれ違うもの

やがて、前方に人影が見えた。

「助かった……!」

急いで車を停め、声をかけようと近づく。

しかし、その人影は、こちらに背を向けたまま、微動だにしない。

「すみません! ここはどこですか?」

返事はない。

不気味に思いながらも、さらに近づいた瞬間――

その人影が、あり得ない角度で首を回してこちらを見た。

“顔がなかった。”

私は全身が凍りつき、無我夢中で車に戻った。

第五章:戻れない出口

必死にアクセルを踏み、来た道を引き返す。

「早く、早く……!」

心の中で叫びながら、ようやく再びトンネルの入り口を見つけた。

だが――

トンネルの上には、朽ち果てた標識が立っていた。

そこには、「立入禁止」 の赤い文字と、「この先は“戻れない”」 という不気味な注意書きが。

恐怖に駆られながらもトンネルに突入する。

出口が見える。

必死にハンドルを握り、光へと向かった。

結末:元の世界へ?

気づけば、私は元の山道に戻っていた。

「……夢だったのか?」

しかし、車のシートは冷たい汗で濡れていたし、燃料も大幅に減っていた。

恐る恐る、もう一度あのトンネルのあった場所へ向かうと――

トンネルは、跡形もなく消えていた。

まるで、最初から存在しなかったかのように。

エピローグ

今も私は考えることがある。

「本当に、あのトンネルから戻ってきたのだろうか?」

もしかしたら、今いるこの世界が……

あの気味の悪いトンネルの先だったのかもしれない。



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