怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

雪に埋もれたお地蔵様 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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雪深い村での冬

私が小学生の頃、冬休みを祖母の住む山間の小さな村で過ごしたことがある。
その村は豪雪地帯で、冬になると一面が銀世界に覆われ、家々は雪の壁に囲まれてしまうほどだった。

ある日、祖母の家の裏山を散歩していると、雪の中からほんの少しだけ赤い布が覗いているのを見つけた。
気になって雪をかき分けると、そこには首だけが雪の中から出ている小さなお地蔵様があった。

雪に埋もれ、寒さでひび割れた石の顔はどこか悲しげに見えた。
私はなんだか放っておけず、手袋を外してお地蔵様の周りの雪を必死に掘り起こした。
すると、木製の小さな祠が半壊しているのがわかり、きっと雪崩か何かで倒壊したのだろうと思った。

お地蔵様の不思議な現象

その夜、不思議な夢を見た。
私は雪の中を歩いていて、遠くから「ありがとう、ありがとう」という小さな声が聞こえてくる。
振り返ると、昼間に助けたお地蔵様が立ち上がり、ニコニコと笑っているのだ。

目が覚めると、窓の外に足跡が続いていた。
でもその足跡は――家の中へと向かっている。

祖母に話すと、
「お地蔵様はね、助けてくれた人にお礼をすることがあるんだよ」
と優しく笑った。
私は少し怖くなったが、祖母の言葉で気持ちが落ち着いた。

雪の日の再会

次の日、またお地蔵様のところへ行くと、前日よりもきれいに雪が取り除かれていた。
誰かが手伝ってくれたのかと思ったが、足跡は私のものだけ。

さらに奇妙なのは、お地蔵様の顔がほんの少し変わっていたことだった。
まるで、優しく微笑んでいるように見えたのだ。

「…気のせいかな?」

私はお地蔵様の前で、またお祈りをして帰宅した。

春が訪れた後

冬が終わり、春に再び祖母の家を訪れた。
雪はすっかり溶け、あの場所へ行ってみると――お地蔵様がなかった。
跡形もなく消えていたのだ。祠も、石像も、何もない。

祖母に聞いても、
「そんなお地蔵様なんて、あの裏山には最初からなかったはずだよ?」
と不思議そうに首をかしげるだけだった。

私は夢だったのかもしれないと思いながら、なんとなく寂しい気持ちで帰路についた。

最後の手紙

それから数年後、祖母が亡くなり、遺品整理のため再びあの家を訪れた。
押し入れの奥から、見覚えのある古びた小箱を見つける。
中には、あのときお地蔵様の首に巻かれていた赤い布が入っていた。

小さな紙切れが添えられていた。

「ありがとう。あなたのおかげで、雪の中から出られました。」

震える手で布を撫でながら、私は不思議と温かい気持ちになった。
きっと、あのお地蔵様は今もどこかで誰かを見守っているのだろう。



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