怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

ガリガリの男 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

「あの細い人、またいる……。」

最近、夜道を歩いていると、いつも 「ガリガリの男」 に遭遇するようになった。

異様に痩せこけた体。

張り付いたような皮膚。

ギョロリとした大きな目で、じっとこちらを見つめている。

最初はただの不健康な人かと思った。

でも、ある日――

その男が、私の“名前”を知っていた。

第一章:ガリガリの男との遭遇

仕事帰り、駅から自宅までの道を歩いていると、異様に痩せた男 とすれ違った。

「……。」

夜の街灯の下、その男は私のほうをじっと見つめていた。

異様なほど細い手足。

頬がこけ、皮膚が骨に張り付いたような体。

まるで 何かに飢えているような目 で、こちらをじっと見ていた。

気味が悪くなり、足早にその場を去った。

しかし、それからというもの――

毎晩、必ず どこかであの男とすれ違うようになった。

第二章:名前を呼ばれる

ある日、会社の帰り道。

またしても、あのガリガリの男 がいた。

ただ立っているだけ。

何かを待っているような気がして、足早に通り過ぎようとした、その時――

「○○さん……」

背筋が凍った。

私は、一度もその男と言葉を交わしたことはない。

なのに、なぜ私の名前を知っている?

振り向くことができなかった。

私は、そのまま走って帰宅した。

第三章:エレベーターの鏡越しに

マンションに着き、エレベーターに乗り込む。

ドアが閉まる直前、外に 誰かが立っている のが見えた。

「まさか……。」

ガリガリの男が、じっとこちらを見ていた。

エレベーターが上がるにつれ、私は恐怖で震えた。

「……気のせい、気のせいだ……。」

そう言い聞かせながら、エレベーターの鏡をちらりと見た。

次の瞬間、私は息を呑んだ。

男は、エレベーターの中に“いた”。

第四章:家の中まで

部屋に駆け込み、鍵を閉めた。

「なんなんだ、あいつ……。」

玄関のドアスコープを覗いたが、誰もいない。

ホッと息をつき、ベッドに倒れ込んだその時――

「○○さん……いるんでしょ……」

声が、すぐ近くから聞こえた。

玄関の外ではない。

部屋の中から、聞こえた。

第五章:ガリガリの正体

恐る恐る、部屋の隅に目を向ける。

そこに、ガリガリの男がいた。

「なんで……なんで、俺の家に……!」

男はゆっくりと顔を上げ、笑った。

「だって……お前が“俺”を作ったんだろう?」

頭が真っ白になった。

「作った……? 何を言ってるんだ……?」

「覚えてないのか? 俺はずっと、お前のそばにいたんだよ。」

私は、必死に記憶を遡った。

ガリガリの男。

異様に痩せこけた体。

ギョロリとした目。

……いや、待て。

この男、どこかで――

いや、“俺自身”に似ている。

「お前は……誰なんだ?」

男は笑いながら、ゆっくりと私に近づいてきた。

「……俺は、お前だよ。」

その瞬間、目の前が暗転した。

結末:消えた男

次に目を覚ました時、私は病院のベッドの上にいた。

医者によれば、私は 衰弱して倒れていた らしい。

体重も激減しており、ガリガリの状態 になっていた。

「……俺、ずっと何も食べてなかった……?」

思い返してみても、記憶が曖昧だ。

ただ、一つだけ確かなことがある。

あの男は消えた。

ガリガリの男は、もうどこにもいない。

だって――

今度は、俺自身が“ガリガリ”になったのだから。



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