目次
はじまりはただの違和感だった
私は、郊外の小さなアパートに住む普通の会社員だ。
特に変わった趣味もないが、毎朝ベランダでコーヒーを飲むのが日課だった。
ある日、ふと気づいた。
「鳥がやけに多いな」と。
電線に、無数のカラスや鳩、ムクドリがぎっしりと並んでいる。
いつもなら数羽程度なのに、その日はまるで列車のようにずらっと並んでいた。
それだけなら季節の変わり目か何かだと思って気にしなかった。
だが、よく観察すると、不自然なことに気づいた。
鳴かない鳥たち
“鳥が、鳴かない。”
普段なら、チュンチュンとかカァカァとか、賑やかな鳴き声が聞こえるはずだ。
だが、そこにはただ沈黙だけがあった。
何十羽もいるのに、羽音すら聞こえない。
彼らは、ただじっと、動かずに一点を見つめている。
その一点――それは、私のアパートの部屋だった。
不気味な“視線”
翌日も、同じ光景だった。
鳥たちは増えている気さえする。
そして、全ての鳥の目が私の部屋の窓を見つめている。
気味が悪くてカーテンを閉めた。
でも、窓の外から感じる無数の“視線”は、カーテン越しでも伝わってくる。
「何を見ているんだ?」
夜になっても鳥たちはそこにいた。
寝ようとしても、どこか落ち着かない。
まるで、自分が監視されているようだった。
奇妙な夢
その夜、不気味な夢を見た。
私は、巨大な鳥の群れに囲まれていた。
彼らは鳴かない。ただじっと、真っ黒な目で私を見つめている。
逃げようとしても体が動かない。
そして、一羽が私に近づいてきて、鋭いくちばしで何かを囁いた。
「お前を見ている。」
私は汗びっしょりで目を覚ました。
時計は午前3時。
ふと窓を見ると、カーテンの隙間から“無数の目”がこちらを覗いていた。
異常な光景
翌朝、決心してベランダに出てみた。
だが、そこに鳥たちの姿はなかった。
まるで最初から存在しなかったかのように。
「夢だったのか?」
そう思いたかった。
だが、ふとベランダの床を見ると――
無数の鳥の足跡が、私の部屋のガラス戸に向かってびっしりとついていた。
最後の“訪問”
それから数日、鳥たちは現れなかった。
私はようやく安堵し、日常に戻った。
だが、ある晩――
深夜、ふと目が覚めた。
ベッドの横に、“鳥の足跡”が続いていた。
そして、天井の隅で、
一羽の黒い鳥が、じっと私を見下ろしていた。
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