怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

消せない奇妙な広告 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

ある日、私は奇妙な広告に出会った。

インターネットを見ていると、画面の端に小さなバナー広告が表示されていた。

「あなたに最適な特別な体験をお届けします。」

普段なら気にも留めずにスルーするのだが――。

なぜか、その広告はどんなサイトを開いても必ず表示された。

SNS、ニュースサイト、動画配信サービス――どこを見ても、必ず目に入る。

「気味が悪いな…」

そう思いながらも、私はつい、その広告をクリックしてしまった。

【謎のサイト】

広告をクリックすると、真っ白な画面に黒い文字が浮かび上がった。

「ようこそ。」

それだけ。

何の情報もなく、どこへもリンクしていない。

不気味に思ってブラウザを閉じた。

しかし――それ以来、もっと奇妙な現象が起こり始めた。

【消せない広告】

翌日から、スマホやパソコンの広告がすべて同じものになった。

「あなたに最適な特別な体験をお届けします。」

動画を見ようとしても、広告が流れ続けるだけで再生されない。

アプリを開いても、広告が画面全体を覆って操作できない。

試しに広告ブロックを入れても、無意味だった。

それどころか、広告は次第に変化していった。

【見覚えのある映像】

ある夜、広告の画像が変わっていることに気づいた。

そこには、私の部屋の写真が映っていた。

「……何だ、これ?」

まるで、どこかの監視カメラで撮られたような角度。

しかし、私はそんなカメラを設置した覚えはない。

気味が悪くなり、スマホを投げ出した。

だが、次の瞬間、スマホが勝手に鳴り出した。

「通知:あなたに最適な体験をお届けします。」

【広告のメッセージ】

翌日、広告には新たな文章が追加されていた。

「今夜、訪問いたします。」

私は慌ててスマホを再起動し、ネットの接続を切った。

しかし、電源を入れ直しても、広告は消えなかった。

そして――夜になった。

部屋の電気を消し、布団に潜り込んで震えていた時だった。

コンコン…

玄関のドアが、ゆっくりと叩かれた。

【エピローグ】

私はその夜、部屋から一歩も出なかった。

朝になり、恐る恐る玄関を開けると――何もなかった。

だが、それ以来、広告は消えた。

安心したのも束の間、私はあることに気づいた。

スマホの画面に映る広告には、こう書かれていた。

「次は、あなたの番です。」

「あなたも、この広告を誰かに届けてください。」

私は今、必死にこの話を書いている。

もしかすると、この記事を読んでいるあなたのスマホにも、同じ広告が出ていませんか?

もしそうなら――今夜、訪問があるかもしれません。



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