怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

使っていないはずの祖母の部屋 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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帰省した実家で

久しぶりに実家へ帰った。
社会人になってからは忙しく、年に一度帰れるかどうかだ。

玄関をくぐると、母が迎えてくれた。
「おかえり、疲れたでしょ? 夕飯の準備できてるわよ」

昔と変わらない実家の匂いに、懐かしさを感じる。
廊下を歩いていると、ふと 祖母の部屋 の前で足を止めた。

祖母が亡くなったのは3年前。
それ以来、この部屋は使われていないはずだ。

だが――

ふと、部屋の奥から物音がした気がした。

祖母の部屋の違和感

気になって、そっと襖を開ける。

――部屋は、そのままだった。

祖母が使っていた布団、整理整頓されたタンス、
窓際に置かれた座布団、編みかけの毛糸玉。

まるで、祖母が今でもこの部屋で生活しているかのように、
時間が止まったような空間だった。

「お母さん、この部屋…まだそのままなんだね」
リビングにいた母に声をかけると、母は困ったように笑った。
「そうね。片付けようとは思ってるんだけど…」

ふと、違和感を覚えた。

畳の上に、誰かが座った跡がある。
編みかけの毛糸玉が、少し転がっている。

誰も使っていないはずなのに――?

祖母の影

その夜、布団に入っていると、ふと廊下から音が聞こえた。
スリッパが床をこする音。

実家の床は古く、歩くときしむ。
だが、その音の響き方が妙だった。

ゆっくりと、確実に、
誰かが祖母の部屋へ向かって歩いているような――

ギィ…

祖母の部屋の襖が開く音がした。

布団の中で息をひそめる。
心臓が早鐘のように鳴る。

カタ…カタ…

何かを動かす音がする。
編み針が毛糸を編むような、かすかな音。

祖母の部屋で、誰かが編み物をしている――?

しかし、その部屋には 誰もいるはずがない。

母の一言

翌朝、恐る恐る祖母の部屋を覗いた。
畳の上には、昨夜はなかった毛糸玉が落ちていた。

「…お母さん、この部屋、夜に誰か入った?」
朝食を準備していた母に尋ねる。

母は箸を持つ手を止め、ゆっくりと微笑んだ。

「おばあちゃん、まだ普通に生活しているのよ」

その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍った。

母は、何を知っているのだろうか。
"まだ普通に生活している" とは、どういう意味なのか。

その日はあえて祖母の部屋を見ずに、
そそくさと実家をあとにした。

帰りの電車の窓から、遠ざかる実家を見つめながら、
次に帰省するとき、祖母の部屋を覗くべきかどうかを迷っていた。



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