目次
祖父が使っていた部屋
私の実家には、使っていない部屋がある。
それは、祖父が生前使っていた部屋だ。
祖父は数年前に亡くなった。
それ以来、その部屋は物置のようになり、誰も使わなくなった。
母は「片付けようと思ってるんだけどね」と言いながらも、結局そのままになっている。
私は年末年始に帰省するたび、その部屋の前を通るたびに、妙な違和感を覚えていた。
まるで、まだ祖父がそこにいるかのような気配がするのだ。
使われている気配
ある日、実家でのんびり過ごしていると、母が買い物に出かけた。
一人になった家の中で、私はふと祖父の部屋の前を通りかかった。
ドアノブに手をかけた瞬間――
中から、人の気配を感じた。
静かに耳を澄ませると、微かに何かが動く音がする。
「……母さんが掃除したのかな?」
気のせいかもしれない。
そう思いながらも、私は扉を開けた。
そこには――
祖父が使っていた頃のままの部屋が残っていた。
ほこりが積もっているはずなのに、テーブルには誰かが最近まで座っていたような跡がある。
押し入れの扉も、わずかに開いていた。
なぜか、カレンダーの日付が祖父が亡くなった日のままで止まっている。
急に寒気がして、私はそっとドアを閉めた。
母の言葉
その夜、母が帰ってきたので、私は祖父の部屋のことを聞いてみた。
「ねえ、あの部屋って、誰か使ってるの?」
母は驚いたように私を見て、少し笑った。
「どうして?」
「いや、なんか……使われてるみたいな感じがしてさ。」
母はふっと笑って、何気ない口調でこう言った。
「おじいちゃん、まだ普通に生活しているのよ。」
冗談だろう。
でも、母は本当にそう思っているようだった。
それ以来、私は祖父の部屋のドアを開けられなくなった。
なぜなら――
もし開けてしまったら、本当に祖父がそこにいる気がしたからだ。
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