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悪夢が告げる不吉な兆し 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

私は、ここ数日同じ悪夢を見続けている。

それは、真っ暗な部屋の中で、何かが近づいてくる夢。

姿は見えない。だが、重い足音と、背筋が凍るような気配だけが確かに存在している。

私はいつも夢の中で身動きが取れず、ただそれが近づいてくるのを待つしかない。

そして、何かが触れそうになった瞬間に目が覚める。

最初は「ただの悪夢だ」と思っていた。

しかし、気づいたんだ――。

この夢を見るたびに、現実で「不吉なこと」が起こるということに。

【不吉な予兆】

最初に夢を見たのは、一週間前のことだった。

翌朝、会社へ向かう途中で黒猫が突然、目の前で倒れた。

ただの偶然だと思っていたが、次の日、また夢を見た。

そしてその日――同僚が事故に遭った。

さらにその翌日、私は再びあの夢を見た。

翌朝、実家から電話があり、祖母が倒れたと聞かされた。

「これはただの夢じゃない…?」

そう思うようになったのは、この日からだった。

【夢の中の変化】

それから、私は毎晩のように夢を見た。

だが、ある日から夢の内容が少しずつ変わり始めた。

足音が、日に日に近づいてくるのだ。

最初は遠くで響いていたのに、今ではもうすぐ後ろにいる。

そして、ついに――。

ある夜、私は夢の中で振り向くことができた。

そこには――

“黒い影”が立っていた。

【悪夢の正体】

夢の中の黒い影は、顔も形もはっきりしない。

ただ、じっと私を見下ろしていた。

何かを言いたげな様子だが、声は出さない。

私は恐る恐る声をかけた。

「……誰?」

すると、影がゆっくりと手を伸ばしてきた。

その手が私の肩に触れた瞬間――

目の前が真っ暗になった。

【現実での出来事】

飛び起きると、体がひどく冷えていた。

時計を見ると午前3時。

「……ただの夢だよな?」

そう思いながらも、不安が拭えない。

翌朝、会社に行くと、上司が青ざめた顔でこう言った。

「お前、昨日の夜、大丈夫だったか?」

何のことかと聞くと、昨夜、私のアパートの前で不審な人物が立ち尽くしていたという。

その人物は黒い服を着ていて、じっと私の部屋を見つめていたらしい。

警察を呼ぼうとしたが、気づいた瞬間、スッと消えてしまったのだという。

【エピローグ】

私は今でも、あの夢を見続けている。

そして、夢の中の影は――日に日に、私に近づいている。

もし次の夢で、あれが私に何かを囁いたら――

それが何を意味するのか、私は知りたくない。

だから、どうか――

今夜だけは、夢を見ませんように。



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