怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

消えた餃子の謎 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

「確かに焼いたはずなのに……。」

皿の上に並んでいたはずの熱々の餃子が、一瞬で消えた。

誰も食べていない。

どこにも落ちていない。

なのに、餃子だけが消えている。

第一章:餃子好きの俺

俺は無類の餃子好きだ。

特に自分で作る焼き餃子が最高だと思っている。

ある日、いつものようにスーパーで餃子の皮と具材を買い、家でじっくり作ることにした。

生地はモチモチ、焼き目はカリッと。

「今日も完璧だな。」

フライパンで焼き上がった餃子を皿に移し、ビールを開けた瞬間だった。

「……あれ?」

皿の上の餃子が、全部消えていた。

第二章:消えた餃子

一瞬、何が起こったのかわからなかった。

「落としたのか?」

しかし、床には何もない。

テーブルの上にも、餃子の欠片ひとつ落ちていない。

「……まさか、夢?」

しかし、フライパンにはまだ焼く前の餃子が残っている。

さっきまで確かに焼き、皿に並べたはずなのに。

俺は少し気味が悪くなった。

「まあいい、もう一回焼けばいい。」

再び餃子を焼き、慎重に皿に移す。

しかし、ビールを取りに冷蔵庫へ向かった 一瞬の隙に――

餃子は、また消えた。

第三章:おかしな痕跡

さすがにおかしい。

誰かがこっそり食べているわけでもない。

冷蔵庫を開ける前までは、確かにそこにあったのに。

ふと、テーブルの端に奇妙な痕跡 を見つけた。

小さな、小さな手形。

「……子供の手?」

しかし、俺は一人暮らしだ。

「気のせい……だよな?」

そう思いながらも、鳥肌が立った。

第四章:三度目の挑戦

もう一度、餃子を焼く。

今度は目を離さないようにする。

皿に並べた餃子をじっと見つめながら、ビールを一口飲んだ。

「……よし、今度は消えてない。」

そう安心した瞬間、

餃子がふわっと消えた。

煙のように、跡形もなく。

目の前で消えたのに、何が起こったのか理解できなかった。

その時――

「……美味しかったよ。」

耳元で、小さな声が囁いた。

第五章:餃子の向こう側

ゾクリとした。

俺は、そっと部屋を見回した。

誰もいない。

でも、気配だけはある。

「……誰だ?」

問いかけても返事はない。

ただ、ふと気づいた。

焼く前の餃子が、一つ増えている。

冷蔵庫の中に入れていたはずの個数より、一つ多い。

しかも、それは俺が作ったものと違い、妙に古びた皮をしていた。

「これ、俺のじゃない……。」

そう思った時、

コンロの火が勝手についた。

そして、フライパンの上で餃子が焼け始めた。

ジューッ……

香ばしい匂いが漂う。

俺は――

もう、それを食べる勇気はなかった。

結末:今もどこかで

それ以来、俺は家で餃子を焼くことをやめた。

外で食べると、問題は起こらない。

だが、ある日――

街の餃子専門店で、俺の前に出された餃子が、一瞬で消えた。

そして、耳元で囁かれた。

「……美味しかったよ。」

それ以来、俺は二度と餃子を食べていない。



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