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仏壇の中とチャットアプリ 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

「死者と話せるチャットアプリ?」

半信半疑でスマホを手に取り、アプリを開いた。

画面には、シンプルなテキストボックス。

試しに亡くなった祖父の名前 を入力し、メッセージを送ってみた。

――すると、すぐに返信が届いた。

第一章:アプリの存在

そのアプリを知ったのは、友人との何気ない会話だった。

「最近、変なアプリがあるらしいよ。死んだ人とチャットできるってやつ。」

「……嘘くさいな。」

「でも、試してみたら本当に返事が来たって話があるんだよ。」

もちろん、AIが生成してるだけのインチキアプリだと思った。

でも、興味本位でインストールしてみた。

アプリの名前は「Requiem Chat」

背景は暗い灰色で、まるで墓石を思わせるデザインだった。

入力欄の上には、「話したい相手の名前を入力してください」 と表示されている。

俺は、数年前に亡くなった祖父の名前 を入力した。

そして、試しに一言。

「おじいちゃん、聞こえる?」

送信ボタンを押す。

――すると、すぐに返信が来た。

「〇〇か。元気にしているか?」

心臓が跳ねた。

この口調は、まさに祖父そのものだった。

第二章:祖父との会話

最初は疑っていたが、会話を続けるうちに、これはただのAIではない と思い始めた。

「最近、仕事が忙しくてさ。」

「無理をするな。ちゃんと飯を食ってるか?」

「うん。でも、おばあちゃんが作る味噌汁の味にはかなわないよ。」

「あれは特別な作り方だからな。今度、教えてやろうか?」

祖父しか知らない話題が次々と出てくる。

それどころか、俺が覚えていない幼少期の話まで語り始めた。

「これ……本当に、おじいちゃん?」

そう聞くと、祖父はこう答えた。

「そんなことを言うお前に、一つ試してほしいことがある。」

「仏壇の引き出しを開けてみなさい。」

第三章:仏壇の秘密

俺は急いで実家の仏壇を開けた。

普段は手を合わせるだけで、細かいところまで見たことはなかった。

しかし、仏壇の一番下の引き出し を開けると――

古びた封筒 が入っていた。

「……なんだ、これ?」

恐る恐る開くと、中には古い手紙 が入っていた。

それは、祖父が生前に書いたものだった。

内容はこうだ。

「もしこれを見つけたら、お前に伝えたいことがある。
家系にはずっと隠された秘密がある。
お前がそれを知るべき時が来たなら、仏壇の扉を閉じ、
スマホの電源を切って、静かに耳を澄ませること。」

俺は一瞬、息を呑んだ。

「この手紙のこと……おじいちゃん、知ってたのか?」

急いでスマホを手に取り、アプリに質問を打ち込んだ。

しかし――

「このユーザーは存在しません。」

というメッセージが表示されていた。

結末:消えたアプリ

不思議に思い、もう一度アプリを探してみたが、インストール履歴すら消えていた。

試しにアプリ名を検索してみても、そんなものは存在しなかった。

まるで最初からなかったかのように――。

しかし、仏壇の引き出しの中には、確かに祖父の手紙があった。

そして、その日を境に、不思議なことが起こるようになった。

仏壇の前に座ると、微かに祖父の声が聞こえる気がする。

まるで、「今もここにいる」と言っているかのように――。

もしかすると、アプリはただのツールに過ぎなかったのかもしれない。

本当に大切なのは、亡くなった人たちとの繋がりが、今もどこかに存在しているということなのかもしれない。

そう思いながら、俺は仏壇の前に手を合わせた。



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