目次
プロローグ
「お前、本当に死んだのか?」
そう打ち込んで、送信ボタンを押した。
スマホの画面には、奇妙なアプリのタイトルが表示されている。
『Requiem Chat』――死者と話せるチャットアプリ。
半信半疑だった。
しかし、数秒後――
「ああ、俺は死んだよ。でも、まだお前と話せるみたいだな。」
親友からの返信が、画面に表示された。
第一章:親友の死と奇妙なアプリ
親友の翔太が亡くなったのは、ちょうど一週間前だった。
バイク事故だった。
前触れもなく、突然の別れ。
あまりに急で、未だに信じられなかった。
そんなとき、ネットの掲示板で「死者と話せるチャットアプリ」 の存在を知った。
胡散臭いと思いつつも、藁にもすがる思いでダウンロードしてみた。
「話したい相手の名前を入力してください。」
画面の指示に従い、翔太の名前を入力する。
そして、一言。
「お前、本当に死んだのか?」
送信。
画面に、小さな「入力中」のマークが表示される。
そして――
「ああ、俺は死んだよ。でも、まだお前と話せるみたいだな。」
俺は、息を呑んだ。
第二章:続く会話
「これ、本当にお前なのか?」
「そう疑うのも無理ないな。でも、お前しか知らないことを話せば信じるか?」
翔太は、俺しか知らないはずの思い出を次々と語り始めた。
中学の頃、二人で先生の車にイタズラしてバレたこと。
初めて一緒にバイクでツーリングした日のこと。
俺が誰にも言っていない悩みまで、翔太は知っていた。
「……マジで、お前なのか?」
「マジだよ。でもさ、俺はもう“向こう側”にいる。」
「向こう側?」
「死者の世界だよ。でもな、お前が本当に望めば、俺に会うこともできる。」
第三章:死者と会う方法
「どうやって?」
俺の問いに、翔太はすぐに返信をよこした。
「このチャットに『会いたい』って打ち込め。」
たったそれだけ?
でも、怖かった。
ただのアプリのはずなのに、翔太の言葉には妙な説得力があった。
「もし、会ったらどうなる?」
「お前次第だ。」
その意味が分からなかった。
でも、迷った末に俺は、ゆっくりと文字を入力した。
「会いたい。」
送信。
その瞬間、画面が真っ暗になった。
そして、メッセージが一行だけ表示された。
「迎えに行くよ。」
第四章:扉の向こう
次に気づいた時、俺は見知らぬ場所にいた。
灰色の空。
静まり返った町並み。
どこかで見たことのある景色――そう、これは翔太の地元だ。
「……翔太?」
呼びかけると、すぐ近くでバイクのエンジン音が響いた。
振り向くと、翔太がいた。
生前と変わらない姿で、笑っていた。
「よお。久しぶりだな。」
本当に、翔太が目の前にいる。
「……お前、どこにいるんだ?」
「ここは、俺たちみたいなヤツが来る場所さ。」
「俺たちみたいな……?」
翔太は少し寂しそうに笑った。
「お前、戻りたいか?」
「戻るって……?」
翔太がバイクの後ろを指差した。
そこには、ぼんやりとした黒い扉 があった。
「これが、お前が帰る道。」
「じゃあ、こっちに残ったら?」
翔太は何も言わなかった。
ただ、少しだけ悲しそうな顔をした。
「お前が決めろよ。」
俺は、扉を見つめた。
そして――
結末:最後のメッセージ
次に気づいたとき、俺は自分の部屋にいた。
スマホの画面には、最後のメッセージが表示されていた。
「バカ。ちゃんと生きろよ。」
それ以降、アプリは開けなくなっていた。
検索しても、どこにも見つからなかった。
あれは、何だったのか?
でも、一つだけ分かったことがある。
「翔太は、本当に俺に会いに来た。」
俺はスマホを静かに置き、手を合わせた。
「……ありがとう。俺、ちゃんと生きるよ。」
その瞬間、部屋の隅からバイクのエンジン音が微かに聞こえた気がした。
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