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奇妙な“移譲”──受け継がれたものの正体 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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突然の手紙

ある日、俺のもとに一通の封書が届いた。

送り主は知らない名前。差出人欄には「大森志郎」と書かれていた。

まったく心当たりのない人物だ。

封を開けると、中には短い手紙が入っていた。

「あなたに“移譲”します。受け取ってください。」

それだけ。

何を移譲するのかも書かれていない。

そして、封筒の中にはもう一つ、小さな鍵が入っていた。

古びた金属製の鍵。どこかの古い引き出しの鍵のようだった。

冗談か何かだろうと思い、その日は気にも留めなかった。

しかし――

その日から、俺の周りで妙なことが起こり始めた。

変化する日常

翌朝、出勤のために家を出ようとしたとき、靴箱の上に見覚えのない鍵があった。

それは、昨日の手紙と一緒に入っていた鍵とは少し違う、形の似た別の鍵だった。

「……こんなもの、置いた覚えはない」

少し気味が悪くなったが、そのまま仕事に向かった。

しかし、その日から不可解な出来事が続いた。

・家の中の家具の位置が微妙に変わっている
・スマホの履歴に覚えのない番号が残っている
・仕事中、誰かが「大森さん」と呼んでくるが、そんな社員はいない

そして極めつけは、帰宅したときだった。

部屋の中の配置が、まるで“俺が住んでいる部屋”ではないように感じた。

家具の並びが違う。カーペットの模様も違う。

何より――

俺の写真が、見たことのない中年男に変わっていた。

その男の名前こそ……「大森志郎」だった。

俺は誰だ?

「おかしい……」

慌てて財布の中の免許証を確認する。

そこに書かれていた名前は、大森志郎。

いや、違う。俺の名前は大森じゃない。

でも、スマホの連絡先も、会社の名札も、すべてが「大森志郎」になっていた。

まるで、俺の“存在”が書き換えられているような感覚。

混乱しながらも、ふと手元の鍵を握りしめた。

これが、全ての原因なのか?

そう思い、俺は鍵を持って外へ飛び出した。

移譲されたもの

俺は、手紙の封筒に書かれていた住所へと向かった。

そこには、古びたアパートがあった。

鍵を使い、恐る恐る部屋のドアを開けると、中は荒れ果てていた。

そして、部屋の中央に一冊のノートが置かれていた。

ノートの表紙には、たった一言。

「移譲の記録」

ページをめくると、そこにはこう書かれていた。

「この鍵を持った者は、前の持ち主の人生を受け継ぐ。
名前も、記憶も、存在も、すべてが塗り替えられる。
私は前の持ち主、大森志郎の人生を受け取った。
そして今、それを次の者に移譲する。
これを読んでいるあなたが、新たな持ち主となる。」

俺は凍りついた。

つまり――

俺の“元の人生”は、誰か別の人間に“移譲”されたのか?

どこかで、知らない誰かが俺の名前で生きているのか?

ノートの最後には、こう書かれていた。

「あなたも、次の持ち主を見つけなければならない」

俺はゆっくりとノートを閉じ、手のひらの鍵を見つめた。

この鍵を、次に“誰”に渡すのか――それを決めなければならないのだ。



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