怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

閉じ込められる夢 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

最近、同じ夢を何度も見る。

それは、どこかの部屋に閉じ込められる夢だ。

毎回、目が覚めるとそこは見知らぬ場所。

窓はなく、ドアは開かない。

ただ、壁掛け時計の針だけがゆっくりと動いている。

夢の中の時間は、いつも午前3時を指している。

【奇妙な夢の連続】

最初は「ただの悪夢だ」と思っていた。

しかし、夢を見るたびに違和感が増していく。

例えば、1回目は何もない部屋だったのに、2回目には小さな木製の椅子が置かれていた。

3回目には机が追加され、4回目には古びたカレンダーが壁に掛かっていた。

まるで、少しずつ部屋が完成していくかのように。

そして5回目――ついに、部屋の中に“誰か”がいた。

【夢の中の存在】

その夜、私はいつものように目を覚ます。

だが、部屋の隅に“誰か”が座っていた。

それは、私と同じ顔をした男だった。

無表情で、じっとこちらを見つめている。

私は恐る恐る尋ねた。

「……誰だ?」

すると、男はニヤリと笑った。

「次は、お前の番だよ。」

次の瞬間――私は目を覚ました。

【現実の異変】

飛び起きると、体中に嫌な汗をかいていた。

しかし、一つ気になることがあった。

部屋の空気が、夢の中と同じ匂いがする。

「……気のせいだよな?」

そう思いながらも、嫌な予感が拭えなかった。

次の夜、再び夢を見るのが怖かった。

だが――夢は見なかった。

夢を見ないことに、安心したはずだった。

しかし、それは大きな間違いだった。

【夢と現実の境界】

次の日、何気なくスマホを開くと、カメラフォルダに見覚えのない写真があった。

それは――夢の中で見た“あの部屋”の写真だった。

カメラの詳細情報を見ると、撮影日時は昨夜の午前3時。

私は、ゾッとした。

まるで、誰かが“あの部屋”から撮影したかのように。

そして、写真の隅には――

“私と同じ顔の男”が、こちらを見つめていた。

【エピローグ】

それ以来、私はあの夢を見ていない。

だが、時々思う。

「夢の中の男は、“次はお前の番だ”と言ったよな……。」

もし今、誰かがあの部屋に閉じ込められているのなら――。

それは、前回の“私”なのではないか?

今夜、また夢を見たらどうなるのか。

今度は、もう目を覚ませないかもしれない。

もしあなたが毎晩、同じ夢を見るようになったら――

それは、あなたが“夢に閉じ込められる番”になったということかもしれない。



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