通勤中、電車の中で音楽を聴くのが日課だった。
お気に入りのイヤホンを耳に差し込み、スマホの音楽アプリを開く。
電車の揺れに身を任せながら、音楽に浸る。
しかし、その日――奇妙なことが起こった。
目次
混ざる音
最初は気のせいかと思った。
曲の途中で、かすかに誰かの声が聞こえた。
「……ねぇ……」
女性の声だった。
「……気づいて……」
一瞬、ゾッとしたが、イヤホンを外すと何も聞こえない。
周りの乗客はスマホを見たり、本を読んだりしている。
「……ノイズか?」
気を取り直してイヤホンをつけ直す。
しかし、次の瞬間――
耳元ではっきりと囁かれた。
「後ろを見て」
振り向けない
心臓が跳ね上がった。
怖くなって振り向きたかったが、体が動かない。
まるで、後ろに何かがいると本能が拒絶しているような感覚だった。
イヤホンを外しても、もう何も聞こえない。
電車は次の駅に着く。
「……降りよう。」
私はイヤホンをポケットにしまい、そそくさと車両を降りた。
イヤホンの異変
帰宅後、イヤホンを確認した。
普段どおり、特に異常はない。
試しに音楽を再生してみるが、変な音は混ざっていない。
「やっぱり気のせいだったのか……。」
ホッとしたのも束の間。
スマホの画面に、見覚えのない音声ファイルが保存されていた。
「record_001.mp3」
「……録音?」
そんなものをした覚えはない。
震える指で再生すると――
そこには、電車の揺れる音とともに、あの声がはっきりと入っていた。
「後ろを見て。」
そして、その直後――
「なんで見ないの?」
録音の最後に、誰かの笑い声が入っていた。
最期の一音
次の日から、私はイヤホンを使うのをやめた。
だが、それ以来、家の中でもかすかにイヤホン越しの音が聞こえる気がする。
イヤホンをつけていないのに、耳の奥で――
「ねぇ、まだ聞こえてるでしょ?」
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