目次
深夜の動画配信サービス
ある日の深夜、俺はベッドの上でスマホをいじっていた。
翌日は休みだし、何か映画でも観ようと思い、動画配信サービスを開いた。
普段使っている配信サイトではなく、たまたま広告で見かけた「オンデマンドX」というサイトだった。
──「リクエストすれば、どんな映像でも視聴可能!」
そんな魅力的なキャッチコピーが書かれている。
俺は半信半疑で、そのサイトにアクセスした。
サイトのデザインはシンプルで、検索バーには「視聴したい映像を入力してください」と書かれている。
試しに昔好きだったテレビ番組のタイトルを入れてみた。
──すると、数秒後に「配信開始」と表示され、画面に映像が流れ出した。
「すげぇ……本当に観れるのか?」
驚いた俺は、さらに消えたはずの懐かしいアニメや映画を検索してみた。
どれも問題なく視聴できた。
普通の配信サービスでは見つからない作品まで視聴できるなんて、まるで魔法のようだ。
しかし、俺はこの時、まだ気づいていなかった。
これが"普通のオンデマンド"ではないことに──。
存在しないはずの映像
しばらくして、俺はふと思いついた。
「もしかして、未公開の映画や、幻の番組も観れるんじゃないか?」
試しに「未公開作品」と検索バーに入力すると、いくつかのタイトルが表示された。
その中には、都市伝説となっている"封印されたホラー映画"もあった。
「マジかよ……これ、本当に観ていいのか?」
躊躇したが、好奇心には勝てなかった。
再生ボタンを押すと、画面には映画のタイトルが浮かび、古びたフィルムのような映像が始まった。
内容は、80年代に作られた低予算ホラー映画のようだった。
しかし、見続けるうちに、ある異変に気づく。
──画面の中で、登場人物が俺の名前を呼んだ。
「……え?」
ゾクリと背筋が寒くなる。
偶然か? それとも単なる空耳か?
だが、その後も何度か登場人物が俺の名前を呼んだ。
まるで俺がそこにいることを知っているかのように。
これは単なる偶然じゃない。
──「もうやめよう」
直感的にそう思い、再生を止めた。
だが、それだけでは終わらなかった。
"削除できない"視聴履歴
翌日、気持ち悪さを感じながらも、スマホを開き「オンデマンドX」のサイトを開いた。
視聴履歴を消そうと思ったのだ。
しかし、そこには削除ボタンが存在しなかった。
代わりに、こんなメッセージが表示されていた。
──「視聴者履歴は保持されます」
「……どういうことだ?」
何度もログアウトしようとしたが、エラーメッセージが出るだけで、サイトから抜け出せない。
仕方なくスマホを再起動し、サイトに再ログインしようとしたが、今度は「このページは存在しません」と表示される。
つまり、もう二度とアクセスできなくなっていた。
それなのに、俺の視聴履歴にはあの未公開映画のタイトルが残ったままだった。
まるで「この映画を観たことを忘れるな」と言われているようだった。
"消えた番組"の行方
数日後、俺はこの奇妙な体験をネットで調べてみた。
しかし、「オンデマンドX」についての情報は一切なかった。
それどころか、俺が観たはずの映画や番組も、どこにも存在しないことになっていた。
「え……?」
確かに俺は観た。
しかし、その証拠が何も残っていない。
どういうことだ?
スマホのキャッシュを調べても、閲覧履歴は消えている。
SNSで話題になっていたはずの「封印されたホラー映画」も、ネット上では一切検索できなくなっていた。
まるで、俺が観た映像そのものが"この世から削除された"ようだった。
「……もしかして、俺がリクエストしたことで、"存在してはいけない映像"が復活してしまったのか?」
そんな考えが頭をよぎる。
だが、もうそれを確かめる術はない。
なぜなら、あのサイトには二度とアクセスできないのだから。
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