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奇妙なフリー素材 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

俺はWebデザイナーとして働いている。

仕事柄、よくフリー素材を利用する。

特に人物写真の素材は便利で、さまざまなサイトで使われている。

しかし、最近になって奇妙なフリー素材 を見つけた。

それが、すべての始まりだった――。

第一章:見覚えのある男

その日、クライアントの依頼で、ビジネス向けのサイトを作成していた。

「適当なフリー素材を使って、雰囲気を出そう。」

そう思い、いつも利用している素材サイトを開いた。

「……ん?」

検索結果に出てきた、ある男性の写真 に目が止まる。

30代半ばくらいのスーツ姿の男。

どこにでもいそうな顔立ちなのに、なぜか引っかかる。

「この男……どこかで見たことがある気がする。」

違和感を覚えながらも、写真をダウンロードし、サイトに使用した。

第二章:増える写真

翌日、別の案件でまたフリー素材を探していた。

「……また、こいつがいる。」

昨日とは別のサイトなのに、同じ男が何枚も並んでいた。

しかも、表情が微妙に違う。

「笑顔」「驚き」「真剣な顔」「悲しげな表情」――

どの写真も、何か違和感がある。

まるで、写真の中の男が“生きている”かのように。

試しに、彼の写真を使ったサイトをいくつか開いてみた。

ビジネスサイト、広告、ブログ記事――

どのサイトにも、彼がいる。

まるで、この世のあらゆる場所に存在しているかのように。

第三章:おかしな噂

不安になり、Webデザイナー仲間にこの男のことを話してみた。

すると、意外な反応が返ってきた。

「ああ、そいつ知ってるよ。」

「なんか最近、やたらと見るよな。」

「でもさ……変じゃないか?」

「何が?」

「この男の名前、どこにも載ってないんだよ。」

確かに、フリー素材には通常、モデルの名前やカメラマンのクレジットがある。

しかし、この男の情報は一切ない。

第四章:消された記録

さらに調べるため、この男の写真を画像検索にかけてみた。

すると――

「一致する画像はありません」

どの写真も、検索結果に引っかからない。

「そんなはずはない……。」

Web上には無数のサイトにこの男の画像が使われているのに、どこにも「元の写真」が見つからない。

おかしい。

まるで、この男は“存在しない人間”のようだった。

第五章:写真の異変

それから数日後、俺はふと自分が作ったサイト を見返した。

すると、違和感に気づく。

写真の男の表情が変わっている。

最初は穏やかに微笑んでいたはずなのに、今は不自然に口角を上げ、目を大きく見開いている。

……いや、違う。

「こちらを見て笑っている」

思わず別のサイトも確認した。

どの写真も、以前とは微妙に違う。

どんどん俺の方を見つめている。

「これは……何なんだ?」

不安になり、急いで画像を削除しようとした。

だが――

削除ボタンが押せない。

ページの編集権限は、俺しか持っていない。

それなのに、画像が消えない。

しかも、その時――

パソコンのスピーカーから、かすかな笑い声が聞こえた。

結末:男はそこにいる

俺はすぐにサーバーごとサイトを削除した。

しかし、男の写真はなぜか復元されてしまう。

それだけじゃない。

俺のスマホのギャラリーに、その男の写真が増えていた。

「……ふざけるな。」

慌てて削除しようとするが、またしても消えない。

そして、画面をじっと見つめた瞬間、全身が凍りついた。

男の顔が、俺と同じ顔になっていた。

「おかえり。」

画面の中の俺が、微笑んでいた。



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