目次
近所の空き家
俺が住んでいる住宅街には、長年誰も住んでいない空き家がある。
築50年以上は経っているだろうか。
外壁はひび割れ、庭の草は伸び放題。
当然、夜になるとさらに不気味さが増す。
「なんで取り壊さないんだろうな」
近所でもそんな話をよく聞くが、所有者の話を聞いたことがない。
誰も住んでいないはずのその家に、ある日、不思議なことが起き始めた。
夜に灯る明かり
ある夜、仕事帰りにその空き家の前を通ったときのことだ。
家の2階の窓がぼんやりと光っているのに気づいた。
「……あれ?」
電気がつくはずはない。
なにしろ、ずっと無人のはずなのだから。
気になって近づくと、窓の奥に人影が見えた。
ぼんやりと立っているのは、白い服を着た誰か。
だが、妙だ。
動かない。
まるで、俺をじっと見ているかのように微動だにしない。
ゾクリと悪寒が走り、足早にその場を立ち去った。
住人のいない家
次の日、近所の人に「あの空き家、誰か住んでるんですか?」と聞いてみた。
すると、みんな首を振る。
「あそこはずっと空き家のままだよ」
「誰も出入りしてないはずだけど……」
ならば、昨日の人影は何だったのか?
試しに昼間、その家を見に行った。
すると、2階の窓は板で打ちつけられ、完全に封鎖されていた。
あの人影を見たはずの窓が、開くことすらできない状態だったのだ。
「見間違い……?」
そう思おうとした。
だが、その夜――
また、2階の窓が光っていた。
近づいてはいけない
怖くなった俺は、数日間その家の前を通らないようにしていた。
だがある夜、帰り道で何気なく空き家を見たとき、またしても明かりが灯っていた。
そして、窓の中には――
昨日よりも明らかに近づいている人影があった。
昨日は奥の方にいたはずなのに、今日は窓のすぐそば。
いや、それどころか……
手が窓の外に伸びかけている。
さすがに限界だった。
俺は走ってその場を離れた。
翌日、意を決して昼間にもう一度その家を見に行った。
すると、やはり2階の窓は板で打ちつけられている。
それどころか、窓枠には蜘蛛の巣が張り、誰かが近づいた形跡すらなかった。
ならば、俺が見た「影」は――?
消えない明かり
それ以来、俺は夜道を変え、その空き家の前を通らないようにしていた。
それでも、何度か遠くからチラッと見ることがあったが、やはり夜になると2階の窓には明かりが灯っていた。
それが何なのか、誰なのか、考えるのはやめた。
しかし、つい最近――
空き家の取り壊しが決まったという話を聞いた。
「あの家もついに更地になるのか」
少しホッとしたのも束の間。
取り壊し前日の夜、仕事帰りにふと空き家の方を見ると――
いつもよりも強く光る窓が、遠くからでもはっきり見えた。
まるで、最後の抵抗をしているかのように。
そして、その翌日――
取り壊しが始まったはずのその家に、作業員が誰もいなかった。
なぜなら――
解体業者の全員が、前夜に悪夢を見て、高熱で倒れたのだという。
今も、空き家はそのまま残っている。
そして、夜になると、2階の窓に明かりが灯る。
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