目次
古びたアパートの一室
俺が住んでいるのは、築40年を超えた古いアパートだ。
家賃が安いのが魅力で、特に気にせず借りたが、入居当初から少し妙なことがあった。
「夜中に壁の向こうから音がする」
「天井から誰かの足音が聞こえる」
「視線を感じる」
そんな些細な違和感を覚えながらも、仕事で疲れた日々を送るうちに、次第に気にしなくなった。
だが――ある日、部屋のある部分に異変が起きた。
クローゼットの扉に貼られたもの
ある晩、クローゼットの扉に何か違和感を覚えた。
よく見ると、端が黄ばんだ古いお札が貼られている。
それまで気づかなかったのが不思議なくらい、しっかりと扉に張り付いていた。
「……大家さんが貼ったのか?」
気になって指で端を触ってみる。
すると、ペリ……と音を立てて、お札の一部が剥がれた。
その瞬間――
「ガタッ」
クローゼットの中で何かが動いた音がした。
誰もいないはずなのに。
夜中に響くノック音
それからというもの、奇妙な現象が増えていった。
夜になると、部屋の壁やドアをノックする音がする。
「コン、コン……コン……」
最初は誰かのいたずらかと思ったが、ある時、ドアのすぐ向こうから音が聞こえてきた。
「……入れて……」
そんな小さな声まで。
もちろん、ドアの覗き穴を覗いても誰もいない。
このアパートには、何かいる。
そう確信した。
お札の裏側
ある夜、ついに我慢の限界がきた。
「こんなもん、剥がしてやる……!」
思い切って、お札を完全に剥がした。
すると、お札の裏側にびっしりと文字が書かれていた。
それは――
「ここを開けるな」
まるで、俺に向けた警告のように。
次の瞬間――
ドン!!
クローゼットの中から、何かが強くぶつかる音がした。
恐る恐るドアノブに手をかける。
「カチッ」
ドアを開けた瞬間――
何もいなかった。
だが、クローゼットの奥の壁に、爪で引っかいたような無数の傷跡が残っていた。
そして、何かを閉じ込めていたような小さな赤黒い手形が、そこに残されていた。
逃げ出した俺と、その後
俺は翌朝、大家に事情を話した。
すると、大家は青ざめた顔でこう言った。
「お札が剥がれたのか……」
実は、この部屋では昔、ある家族が住んでいたが、父親が突然失踪。
その後、母親と子供がクローゼットの中で不可解な状態で発見されたという。
「お前さん、すぐに引っ越したほうがいい……」
俺は急いで荷物をまとめ、すぐにこの部屋を出た。
それからしばらくして、アパートは取り壊されたと聞いた。
しかし、あの時剥がしてしまったお札が何を封じていたのか――
そして、今もそれがどこへ行ったのか。
俺には、知る術はない。
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