目次
【プロローグ】
大学進学を機に、私は築40年の古いアパートに引っ越した。
家賃は格安。風呂・トイレ別、駅から徒歩5分という好条件。
「この物件、意外といいかもな。」
しかし――
部屋の中で、一つだけ妙なものを見つけた。
それは、押し入れの奥に貼られた“お札” だった。
【不自然なお札】
初めて部屋を見たとき、押し入れの扉を開けたら黄色く変色した紙がベタッと貼りついていた。
墨で何やら文字が書かれている。
読めないが、どう見てもただの装飾ではない。
「まあ、気にしなければいいか……。」
そう思いながらも、なんとなく気味が悪かった。
だが、その夜――
押し入れの中から、カサカサと何かが動く音がした。
【お札を剥がした夜】
「ネズミでもいるのか?」
そう思い、翌日、押し入れを掃除することにした。
そして――
私は何の気なしに、お札を剥がしてしまった。
すると、その瞬間。
ゾワリと背筋が寒くなった。
部屋の空気が、一気に重くなる。
だが、何も起こらなかった。
「気のせいか……。」
そう思いながら、その日は眠りについた。
しかし――
夜中の3時、ふと目が覚めた。
耳を澄ますと――
押し入れの中から、“コツン”という音がした。
まるで、誰かが中から叩いているような音。
【異変】
「気のせいだ……。」
そう自分に言い聞かせ、無理やり目を閉じた。
だが、その夜から、奇妙な現象が続くようになった。
・夜中になると、必ず押し入れの中で音がする。
・鏡に映る自分の後ろに“誰か”が立っている気がする。
・寝ていると、耳元で“低い囁き声”が聞こえる。
我慢できず、アパートの管理人に相談した。
すると、管理人は顔をこわばらせながら言った。
「……お前、押し入れの“お札”剥がしたのか?」
「えっ?」
「……馬鹿なことをしたな。」
【お札の意味】
管理人の話によると――
以前、この部屋にはある一家が住んでいた。
しかし、その一家はある日、忽然と姿を消した。
荷物もそのまま、生活の痕跡が残ったまま。
ただ、押し入れの中からは何かを引きずった跡のような黒い染みが見つかったらしい。
「その後、何人か入居したが、みんなすぐに出ていった。」
「だから、部屋を“封じる”ためにお札を貼ったんだよ。」
私は血の気が引いた。
「……お札、貼り直せばいいんですか?」
管理人は首を振った。
「剥がしたものを戻しても、もう遅い。」
【エピローグ】
その夜、私は寝ることができなかった。
電気をつけたまま布団に潜り込む。
押し入れを見ないように――。
しかし、耳を澄ますと――
コツン……コツン……。
何かが押し入れの中から、少しずつ叩いている。
そして、ドアの隙間から――
細く白い指が、ゆっくりと伸びてきた。
私は、次の日すぐにこの部屋を引き払った。
後日、このアパートは取り壊されたらしい。
だが――
もしあなたの部屋にも、お札が貼られていたら。
絶対に剥がしてはいけない。
それはただの紙ではなく――
何かを封じ込めるためのものかもしれないのだから。
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