怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

足音が近づく夜 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

金縛りは、たまに経験する。

仕事で疲れているときや、ストレスが溜まっているとき。

体は動かないが、意識ははっきりしている――そんな感覚には慣れていた。

だが、あの夜の金縛りは違った。

それは、ただの金縛りではなかった。

第一章:異変の始まり

その日は仕事が遅くなり、深夜に帰宅した。

シャワーを浴び、軽く晩酌をしてベッドに入る。

疲れ切った体はすぐに眠りに落ちた。

しかし――夜中、突然意識だけが覚醒した。

「……また、金縛りか。」

動けない体にイラつきながら、目だけを動かそうとする。

その時――

コツ……コツ……

静まり返った部屋に、はっきりと足音が響いた。

第二章:足音の正体

「……誰かいるのか?」

声を出そうとしても、喉が動かない。

足音は、玄関のほうから聞こえた。

「……気のせいだ。夢だ。」

そう思い込もうとしたが、足音は確実にこちらへ向かってくる。

コツ……コツ……

ゆっくりとした歩調で、確実に俺の部屋に近づいてくる。

第三章:部屋の中に入ってきた何か

足音は、ついに部屋の前で止まった。

「……開くな、開くな……!」

心の中で必死に願う。

だが――

ギィ……

扉が、少しだけ開いた。

視界の端で、黒い影が覗いているのがわかる。

だが、体は動かない。

俺はただ、目を閉じることしかできなかった。

第四章:すぐそばにいる気配

足音が、部屋の中に入ってきた。

コツ……コツ……

ゆっくりと、俺のベッドのほうへ近づいてくる。

「頼むから、来るな……!」

目を閉じたまま必死に祈る。

しかし、気配は止まらない。

コツ……

コツ……

ついに、足音はベッドのすぐ横で止まった。

誰かが、俺を見下ろしている。

結末:耳元の囁き

静寂。

しばらくすると――

耳元で、かすれた声で何かを囁く声が聞こえた。

その瞬間、金縛りが解けた。

慌てて飛び起き、部屋を見回す。

……誰もいない。

「夢だったのか……?」

心臓がバクバクと鳴る。

だが、床に視線を落とした瞬間、血の気が引いた。

ベッドの横に、濡れた足跡が並んでいた。

それは、玄関からまっすぐ俺のベッドへ続いていた――。



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