怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

視線の正体 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

俺は昔から、「見られている気がする」 ことが多かった。

誰もいないはずの部屋でも、ふとした瞬間に背後からの視線を感じる。

振り返っても、当然、誰もいない。

気のせいだと思っていた。

だが――それは気のせいではなかった。

第一章:目の異変

最近、妙なことが増えた。

部屋の中で、ふとした瞬間に「何かの目」が見えるのだ。

鏡を覗いたとき、窓ガラスに映る自分の背後。

テレビの黒い画面。

本の隙間。

ほんの一瞬だが、誰かの「目」がこちらを見ている。

第二章:録画された視線

気味が悪くなり、スマホの録画機能を使って部屋の様子を撮影してみた。

30分ほど録画し、再生して確認する。

最初は何も映っていなかった。

だが、再生時間が20分を過ぎたあたりで、画面に違和感 があった。

本棚の隙間。

わずかに揺れる「瞳」 が映っていた。

じっと、カメラを見つめている。

第三章:増えていく目

それ以来、視線を感じる頻度が増えた。

しかも――

目の数が、増えている。

最初はひとつだった。

次の日は、二つ。

その次の日は、三つ。

どこに視線を感じても、必ず「目」がある。

壁のシミの中に。

カーテンの折り目の間に。

枕の隙間に。

無数の目が、俺をじっと見ている。

第四章:目の主

ついに耐えきれず、霊感のある友人に相談した。

彼は俺の部屋に入るなり、顔を真っ青にした。

「……お前、ずっと誰かに見られてるぞ。」

「やっぱり……。」

「しかも、その目は、お前の目だ。」

「……は?」

「よく見てみろ。」

友人が手鏡を差し出した。

恐る恐る覗き込むと――

俺の瞳の奥に、無数の目が映っていた。

大小さまざまな目が、俺の目の中で蠢いている。

そして――

一斉に、俺を見た。

結末:視線は消えない

それからというもの、俺は常に「見られている」。

誰かの視線ではなく、俺自身の視線 だ。

目を閉じても、まぶたの裏で無数の目が見えている。

鏡を見れば、俺の目の奥に「誰か」が映っている。

俺は、俺自身に見られている。

ずっと、ずっと――。



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