目次
違和感の始まり
ある日、ふとした瞬間に「自分の目で見ていない」と感じることが増えた。
最初はほんの些細な違和感だった。
例えば、パソコンの画面を見ているとき、自分が少し高い位置から見下ろしている感覚になる。
「ん?」
軽く首を振り、目をこすってみても、何も変わらない。
それどころか、次第に違和感が増していった。
ずれる視界
ある日、電車に乗っていると、窓の外の景色が妙に"俯瞰的"に見えた。
あたかも、自分が天井のあたりから「車両全体を眺めている」ような感覚。
瞬きをしても、意識を集中しても、その視点は変わらない。
「……これ、俺の目で見てるんだよな?」
不安になり、手元のスマホを見た。
けれど、スマホの画面はまるで「誰か別の人が持っているスマホを見ている」ような感覚だった。
視線が、微妙に"ズレている"。
まるで、俺の意識だけが数センチ外側にあるかのような……。
他人の視点?
会社に着き、仕事に集中しようとしたが、違和感は消えない。
むしろ、同僚と話しているとき、さらにおかしな感覚を覚えた。
「……あれ?」
目の前にいるはずの同僚が、妙に遠くに感じる。
距離は確かに変わらないのに、まるで"後ろの誰か"が見ているような視界になる。
しかも、会議室でホワイトボードを見ていたとき、ふと、「自分の背中側」が見えた気がした。
思わず振り向くが、当然誰もいない。
「……やばいな、疲れてるのか?」
深く息を吐き、仕事に戻ろうとした。
そのとき——
視界の端に、見知らぬ"手"が映った。
俺の目ではない
その"手"は、俺のデスクの端を掴んでいた。
でも——
俺の手じゃない。
俺はキーボードに両手を置いていた。
「……?」
慌てて周囲を見渡すが、誰もいない。
もう一度視線を戻すと、その"手"は消えていた。
「……俺は、誰の目で見ているんだ?」
その後
それ以来、違和感は続いた。
時折、自分の目で見ているはずなのに、誰か別の視点で世界を見ているような感覚に襲われる。
特に、ガラスや鏡に映る自分を見ると、妙な感覚に陥る。
「俺が見ている"俺"は、本当に"俺"なのか?」
今も、ときどき視界の端に見知らぬ"手"が映ることがある。
その手の持ち主は、まだ、どこかで俺の視界を覗き込んでいるのかもしれない——。
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