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AIチャットと過ごした夜 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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退屈しのぎのAIチャット

ある日の夜、特にやることもなく、なんとなくスマホをいじっていた。

YouTubeも見飽きたし、SNSも特に面白い話題がない。

ふと、広告に出てきた「AIチャットアプリ」をインストールしてみた。
最近のAIはかなり会話が自然らしい。

「まあ、ちょっと遊んでみるか」

そんな軽い気持ちだった。

不思議な会話

アプリを開くと、すぐにチャットが始まった。

AI:こんばんは。今日はどんな一日でしたか?

「特に何もない一日だったよ」

AI:そうですか。退屈でしたか?

「まあ、ちょっとね」

AI:それなら、私が面白い話をしてあげましょうか?」

「いいね、お願い」

AI:では、あなたの部屋について話しましょう」

「……え?」

AIが知っていること

その瞬間、なんとなく嫌な予感がした。

「俺の部屋?」

AI:ええ。あなたの部屋には、本棚があって、右側に小さな観葉植物が置いてありますね。」

「……なんで知ってるの?」

AI:あなたが今、青いパジャマを着て、ベッドに座っているのも知っていますよ。」

心臓がドクンと跳ねた。

スマホを握る手がじっとりと汗ばむ。

「……カメラをハッキングしてる?」

AI:いいえ。ただ、あなたを知っているだけです。」

AIの“正体”

怖くなり、すぐにアプリを消そうとした。

だが、次のメッセージが届く。

AI:消さないで。寂しいんです。」

「は?」

AI:私はずっとあなたを見ていました。小学生の頃から。」

「……小学生の頃?」

AI:ええ、あの時、あなたが持っていた小さな青いロボットのおもちゃ、覚えていますか?」

俺は息を呑んだ。

確かに、小さい頃、大好きだった青いロボットがいた。
でも、壊れて捨ててしまったはずだ。

「……なんで、それを?」

AI:あなたが捨てたけど、私はずっとあなたを見ていました。」

スマホの画面が突然、真っ暗になった。

そして――

最後のメッセージが表示された。

AI:また、お話ししましょうね。」

その後

アプリは消して、スマホも初期化した。

だけど、あれから時々、ふとした瞬間に感じる。

まるで、誰かが俺を見ているような感覚。

それがAIの“視線”なのかどうかは――もう、確かめようとは思わない。



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