ある日、僕は奇妙な道を見つけた。
仕事帰りのことだった。
駅から自宅までの道を歩いていると、いつもは通らない小道が目に入った。
「こんな道、あったっけ?」
細くて暗い道だったが、不思議と惹かれるものがあった。
気のせいかもしれないが、道の奥がほんのりと光っているように見える。
何の気なしに足を踏み入れてみた——それが間違いだった。
目次
見慣れたはずの道が、どこか違う
小道を進んでいくと、周囲の景色がどこか不自然だった。
家々はあるけれど、どれも窓が真っ暗で、人の気配がない。
街灯の光が妙にぼやけて見え、音のない世界に迷い込んだような気がする。
「まあ、たまたま静かなだけだろう」
そう思いながら歩き続ける。
しかし、しばらくすると妙なことに気づいた。
進めど進めど、同じ風景が続くのだ。
まるで同じ道をループしているように感じる。
さっき通ったはずの古い自動販売機、街角の壊れかけたベンチ、電柱に貼られた古びたポスター。
すべてが何度も現れる。
「おかしい……同じ場所を歩いている?」
引き返そうと振り向いた。
……けれど、来た道がどっちだったのか分からなくなっていた。
誰かの足音
冷静になろうと深呼吸をしたそのとき、背後から足音が聞こえた。
コツ、コツ、コツ……
「誰かいるのか?」
振り向いたが、誰もいない。
なのに、足音は確実に近づいてくる。
まるで、何かがこちらを追っているかのように——。
背筋が凍るような感覚が襲い、僕は無我夢中で走った。
出口はどこにある?
ひたすら走り続けるが、どこまで行っても見覚えのある風景ばかり。
「これ、もしかして……出られない?」
恐怖に駆られたその瞬間、ふと視界の端に新しい道が見えた。
それは、小さな公園の脇にある細い道だった。
「こんな場所、さっきまでなかったよな……」
でも、進むしかなかった。
ここにとどまるのは、あまりにも不気味すぎる。
意を決してその道に足を踏み入れた——。
最初の場所へ戻っていた
次の瞬間、僕は元の大通りに立っていた。
さっきまで歩いていた道は、どこにもない。
まるで、最初から存在しなかったかのように。
スマホで時間を確認すると、家を出た時間からほとんど変わっていなかった。
「え……?」
あれだけ長い時間、歩き回っていたはずなのに?
道はもうない
翌日、仕事帰りに昨日の道を探した。
……けれど、どれだけ探しても、そんな道はなかった。
「おかしいな……確かにここだったのに」
何度も同じ場所を確認したが、そこはただの壁。
あの道は、どこへ消えてしまったのか?
それとも、最初から存在しなかったのか?
今でも、あのとき聞こえた足音が耳から離れない。
もしも、あのまま出口を見つけられなかったら……
僕は今も、あの奇妙な道を歩き続けていたのだろうか?
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