目次
懐かしいはずの和室
久しぶりに実家に帰省した。
都会暮らしに慣れてしまったせいか、築50年以上の木造の家は妙に静かで、少しだけ心細くなる。
両親は旅行中で、家には俺一人だった。
「まあ、たまにはのんびりするのもいいか」
そう思いながら、昔自分の部屋だった和室へ入る。
畳の香り、木の柱の冷たさ、障子越しに差し込む夕日――
懐かしさを感じながら布団を敷き、スマホをいじっていた。
しかし、夜になってから奇妙なことが起こり始めた。
深夜に聞こえる足音
夜中の2時。
ふと目が覚めた。
「……ん?」
家のどこかでギシ……ギシ……と畳を踏む音がする。
両親は旅行中で、家には俺しかいないはず。
「……風の音か?」
そう思い直し、再び眠りにつこうとした――その時。
ギシ……ギシ……ギシ……
畳を踏む音が、和室の前で止まった。
障子の向こう側
心臓が嫌なほど大きく鳴る。
「気のせいだ……いや、でも……」
音の主を確認しようと、障子の向こうをじっと見つめる。
月明かりに照らされた障子には、人の影は映っていない。
なのに、確かにそこには誰かが立っている気配がする。
「……誰か、いるのか?」
恐る恐る声をかける。
すると――
ギシ……ギシ……ギシ……
音は再び動き出し、やがて消えていった。
俺は冷や汗をかきながら、布団をかぶって震えた。
母の一言
翌朝、両親が旅行から帰宅した。
昨夜の出来事を母に話すと、母は驚くどころか、少し困ったような顔をした。
「……ああ、やっぱり気づいちゃった?」
「え?」
「昔からね、この和室、夜になると誰かが歩いてるのよ。でも、悪い人じゃないから大丈夫よ」
母は何でもないことのように言った。
「……誰かって、誰だよ?」
「さあ? でもね、家族が帰ってくると喜ぶみたいなの。あなたが帰ってきたから、きっと嬉しかったんでしょうね」
俺はぞっとした。
ここで育ったはずなのに、初めて知る実家の秘密だった。
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