大学時代、僕はよく深夜のゲームセンターに通っていた。
家の近くに24時間営業のゲーセンがあったのだ。
その日はバイト帰りで、時間は午前1時過ぎ。
少し遊んでから帰ろうと思い、ふらりとゲーセンへ立ち寄った。
平日の深夜ということもあり、客はほとんどいなかった。
店内には、UFOキャッチャーの機械音と、薄暗いネオンライトの光がぼんやりと漂っている。
適当にレトロな格闘ゲームを選び、椅子に腰掛けた。
久しぶりに遊んでいると、ふと隣に誰かが座る気配がした。
「対戦、いいですか?」
低い声が耳に届く。
驚いて横を見ると、黒いパーカーを深くかぶった男が座っていた。
顔がよく見えないが、妙に背筋が伸びた姿勢で、ゲーム画面をじっと見つめている。
「……どうぞ」
僕は軽く頷き、対戦を始めた。
目次
異様な対戦相手
ゲームが始まると、すぐに異変に気がついた。
相手が異常に強いのだ。
どんな攻撃をしても、的確に防御され、まったくダメージを与えられない。
その上、こちらの動きを読んでいるかのように完璧なコンボを決めてくる。
「やばいな……」
僕は格闘ゲームには自信があったが、一瞬でボコボコにされた。
気がつくと、画面には「YOU LOSE」の文字。
すると、隣の男がぽつりと言った。
「もう一回、やりませんか?」
僕はなんとなく嫌な予感がしたが、負けっぱなしでは悔しい。
仕方なく再戦を受けた。
だが、結果は同じ。いや、それ以上にひどかった。
黒いパーカーの男
「……強いですね」
僕は苦笑いしながら隣を見た。
しかし、男は画面を見つめたまま微動だにしない。
店内の薄暗い光のせいか、顔が影になっていてよく見えない。
気になった僕は、少し身を乗り出して顔を覗き込んだ。
——そこには、何もなかった。
フードの奥には、顔がなかったのだ。
消えた対戦相手
心臓が跳ね上がった。
慌てて視線を戻すと、男は静かに立ち上がり、何も言わずにゲーセンの奥へと歩いていった。
足音がまったくしない。
異様な気配に震えながら、僕は店員を呼びにカウンターへ向かった。
「すみません、さっきあそこに座ってた黒いパーカーの男、どこに行きました?」
すると、店員は怪訝な顔で答えた。
「え? そんな人いませんでしたよ」
不吉なゲームデータ
青ざめながら、さっきまでプレイしていたゲームの台に戻った。
しかし、さっきまで対戦していたはずの機体には……
恐る恐る画面を確認すると、プレイヤーネームが表示されていた。
「???」
あの男が使っていた名前だ。
その下には、異様な戦績が記録されていた。
対戦回数:9999回
勝率:100%
そして、最後の対戦相手として、僕のプレイヤーネームが追加されていた——。
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