目次
奇妙な焼け跡
ある休日、久しぶりに地元へ帰った。
子供の頃によく遊んだ場所を巡っていると、ふと、昔空き家だった場所を思い出した。
あの家は、俺が小学生の頃に火事で全焼した。
それからしばらく焼け跡が残っていたが、いつの間にか更地になったはずだ。
懐かしい気持ちで、その場所へ向かうと――
そこには、まるで何事もなかったかのように家が建っていた。
いや、それどころか、焼け落ちる前の姿そのままだった。
まるで時間が巻き戻ったような
古びた木造の二階建て。
壁のひび割れや、玄関横の古いポストまで、俺の記憶と寸分違わない。
「……え?」
混乱しながらも、近づいてみた。
すると、玄関の前に老人が立っていた。
「おや、珍しいねぇ。この辺りの子かい?」
「えっと……」
俺は言葉に詰まる。
なぜなら、この家の住人は火事で亡くなったと聞いていたからだ。
老人の言葉
「懐かしいな、この家……」
思わずそう呟くと、老人はにっこり笑った。
「懐かしい? そりゃあ、あんたもこの家を覚えてるってことか」
「ええ、子供の頃、この家は火事で……」
「火事?」
老人は不思議そうに首を傾げた。
「この家はずっとここにあるよ」
「……いや、でも俺、確かに……」
その時、不意に風が吹いた。
すると、俺の足元には焼け焦げた木の破片が転がっていた。
俺は背筋が寒くなった。
この家は、確かに火事で焼け落ちたはずなのに――
なぜ、今ここにある?
そして、この老人は……?
俺は、それ以上何も言えず、その場を後にした。
記憶のズレ
帰り道、スマホで「○○町 火事」と検索した。
すると、出てきたのは俺の記憶通り、
20年前にこの場所で火事が起き、家は全焼。住人は死亡という記事だった。
だが――
もう一度さっきの場所を振り返ると、
そこにはやはり、更地になっていた。
……俺が見たものは、一体何だったのか?
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