目次
【プロローグ】
僕と親友のタクヤは、近所の森に秘密基地を作ることにした。
森といっても、大きな公園の裏にある雑木林みたいな場所だ。
遊ぶにはちょうどいいし、大人もあまり来ない。
「ここなら最高の基地が作れるな!」
僕たちは木の枝を組み合わせ、ブルーシートを張って小さな基地を作った。
入口には板を立てかけて、秘密基地っぽい雰囲気を出す。
そして、その日から僕たちは毎日そこへ通うようになった。
だが、すぐに――ある違和感に気づいた。
【秘密基地の違和感】
最初に気づいたのは、音の変化だった。
基地の中に入ると、外の音がすっと消える。
風の音も、虫の鳴き声も聞こえなくなる。
まるで、ここだけ別の世界みたいだった。
「なんか……ここ、変じゃない?」
タクヤにそう言うと、彼も頷いた。
「うん。でも、なんか落ち着くよな。」
たしかに、不気味な感じはするけど、嫌な気分にはならなかった。
むしろ、ここにいると時間の流れがゆっくりになる気がした。
しかし――ある日、僕たちは決定的な"違い"を見つけた。
【外の世界と違う風景】
秘密基地の中に入ると、なぜか周りの景色が少し違うことに気づいた。
・遠くに見える公園の遊具が、昨日と違うデザインになっている。
・空の色が、妙に青すぎる。
・いつもは聞こえない鳥の鳴き声が響いている。
「おかしくないか?」
タクヤが呟いた。
僕も同じことを思っていた。
「もしかして、ここ……」
「異世界につながってるんじゃないか?」
冗談のつもりだった。
だけど――次の日、僕たちは決定的な証拠を見つけることになる。
【"誰か"がいる】
次の日、秘密基地に行くと、中に誰かがいた。
僕たちが作った基地の真ん中に、見たことのない少年が立っていたのだ。
「えっ……誰?」
少年は僕たちと同じくらいの年齢だった。
だけど――
服のデザインが、明らかに昔のものだった。
まるで昭和の時代から来たような、古臭い半ズボンとシャツを着ている。
「ここ……君たちの基地なの?」
少年は、僕たちをじっと見つめた。
驚いた僕が「君は誰?」と聞くと、少年は少し考えてから答えた。
「僕も、ここに秘密基地を作ったことがあるんだ。」
僕とタクヤは顔を見合わせた。
「いつ?」
「……たぶん、50年前くらいかな。」
僕たちは、一瞬言葉を失った。
【秘密基地の秘密】
その少年は、50年前にここで友達と秘密基地を作っていたらしい。
だけど、ある日突然基地ごと消えたのだと言う。
「ここは、どこかの世界とつながってるんだと思う。」
「だから、僕もたまにここへ戻ってこられる。」
「でも、戻ってくるたびに、知らない時代になってるんだ。」
僕とタクヤは、鳥肌が立った。
「じゃあ……君、今はどこにいるの?」
少年は少し寂しそうな顔をして言った。
「わからない。でも、もう元の世界には戻れない気がする。」
そう言い残し、少年は静かに秘密基地から出て行った。
僕たちは慌てて後を追ったが、外に出た瞬間、少年の姿は消えていた。
【エピローグ】
それから僕たちは、もう秘密基地には行かなくなった。
もしまた誰か違う時代の人がいたら、と思うと怖くなったのだ。
数週間後、思い切って秘密基地を見に行くと――
僕たちが作ったはずの基地は、跡形もなく消えていた。
まるで、最初から存在しなかったかのように。
あの秘密基地は、本当に異世界とつながっていたのかもしれない。
そして、あの少年は――
今もどこかの時代で、誰かの秘密基地を探しているのかもしれない。
もし、あなたが友達と秘密基地を作ることがあったら――
そこが異世界への入り口になっていないか、注意したほうがいい。
気づかないうちに、あなたも別の世界へ行ってしまうかもしれないから。
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