怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

公園で一人で待っていると 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

今日は、友達のタクヤと公園で遊ぶ約束をしていた。

放課後、ランドセルを家に置いて、急いで公園へ向かう。

「先に着いたかな?」

そう思ったけど、公園には誰もいなかった。

すぐにタクヤも来るだろうと、ブランコに座って待つ。

しかし――

どれだけ待っても、タクヤは来なかった。

【夕暮れの公園】

時間が経つにつれ、公園の中は少しずつ暗くなっていく。

時計を見ると、もう夕方の5時を過ぎていた。

「おかしいな……。」

ポケットからスマホを取り出し、タクヤに電話をかける。

プルルル……プルルル……

何回鳴らしても、タクヤは出ない。

「もしかして、忘れられた……?」

そう思いながら、ふと周りを見渡した。

――その時、公園の隅に“誰か”が立っているのが見えた。

【公園の隅にいる人】

遠くの滑り台の横に、知らない男の子が立っていた。

見たことのない顔だったけど、なんとなく見覚えがある気がする。

「……あれ? 誰だっけ?」

じっとこっちを見ているけど、近づいてくるわけでもない。

「……ねえ、君も誰か待ってるの?」

声をかけても、返事はない。

その時、スマホが震えた。

タクヤからのメッセージだ。

《ごめん! 今日は行けなくなった!》

「……えぇ?」

ため息をつき、もう帰ろうと振り向いた。

そして――

公園の隅にいたはずの男の子が、いなくなっていた。

【帰ろうとした瞬間】

なんだか嫌な気配を感じた。

「……早く帰ろう。」

ベンチに置いていた水筒を拾い、足早に公園を出ようとする。

その時――

背後から、小さな声が聞こえた。

「ねえ……」

ゾクリとした。

誰もいないはずの公園で、すぐ後ろから聞こえる子どもの声。

「ねえ……」

震える手でスマホをぎゅっと握る。

「遊ぼうよ……」

振り向いちゃダメだ。

絶対に振り向いちゃダメだ――。

【エピローグ】

全速力で公園を飛び出し、家まで走った。

玄関の扉を閉めて、息を整える。

「……なんだったんだ、あれ……。」

怖くなり、タクヤにすぐ電話した。

「お前さ、なんで今日来れなかったんだよ……!」

すると、タクヤはこう答えた。

「だって、お前さ――」

「昨日の夜、公園で変な男の子と遊んでたじゃん。」

「……え?」

もちろん、そんなことはしていない。

タクヤの話によると、僕は昨日の夜、ずっと公園にいたらしい。

「ずっとブランコに座って、誰かと話してたって。」

「……誰と?」

「それがさ――お前、“知らない男の子”と喋ってたんだよ。」

昨日、僕は公園になんか行っていない。

じゃあ、タクヤが見たのは――

僕にそっくりな“誰か”だったのか?

そして、あの公園にいた男の子は――。

もし、友達との約束で公園に行くことがあったら、気をつけたほうがいい。

待っているのは、本当に友達なのか?

それとも――

「遊ぼうよ」と待ち続けている、別の何かかもしれない。



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