目次
誰もいないはずの公園
ある日の夕方、僕はいつものように近所の公園へ行った。
その公園は、学校の帰り道にあるけれど、あまり人気がない。遊具は少し古く、砂場もあまり手入れされていなかった。
でも僕は、家に帰っても特にやることがなかったから、よくそこで時間をつぶしていた。
その日もブランコに乗って、ゆっくり揺れながらぼんやりしていた。
ふと気づくと、公園には僕以外誰もいなかった。
夕焼けの光が公園を赤く染める中、風で木の葉がカサカサと音を立てている。
「……なんか、静かすぎるな」
少し不気味に思ったけれど、家に帰る気にはなれなくて、ブランコを揺らし続けた。
誰かの気配
しばらくして、背後から足音が聞こえた。
サクッ、サクッ……
公園の砂を踏む音。
誰かが来たのかと思い、後ろを振り向いた。
でも――誰もいなかった。
「……?」
気のせいかなと思い、また前を向いてブランコを漕いだ。
すると、今度は背後から、「……ねぇ」 というかすれた声が聞こえた。
びっくりしてブランコを止め、もう一度振り向いた。
やっぱり誰もいない。
「気のせい……?」
いや、確かに聞こえた。
背筋がゾワッとして、急いでブランコから降りた。
遊具の上の影
帰ろうと足を踏み出したとき、視界の端で何かが動いた気がした。
ジャングルジムの上。
そっちを見上げると――
白い服の子どもが、ジャングルジムのてっぺんに立っていた。
顔はよく見えない。でも、こっちを見ている気がする。
「……誰?」
そう思った瞬間、その子がゆっくりと頭を傾けた。
ありえないほど、首を傾けて。
「ひっ……!」
足がすくんで動けない。
その子はさらに首を傾けながら、ゆっくりとジャングルジムの間を滑るように降りてくる。
ガシャン……ガシャン……
鉄の音が、公園に響いた。
僕はもう耐えられなくて、一目散に走り出した。
背後で、またあのかすれた声がした。
「……まって」
絶対に振り向いてはいけない――そう思いながら、家まで全力で走った。
その後
次の日、学校で友達に昨日の話をした。
すると、一人が顔をこわばらせながら言った。
「……それ、もしかして公園にいる『もう一人の子』じゃない?」
「もう一人の子?」
「うん……昔、あの公園で遊んでた子がいなくなったんだって。そんで、それから時々、一人で公園にいる子が変なものを見るって話があるらしい」
「……そんなの、聞いたことないよ」
「だって、それを見た子は、しばらくしたら転校しちゃうんだって」
……それ以来、僕はあの公園には行っていない。
でも――今も誰かが、一人であの公園にいるのなら。
もしかしたら、また「もう一人の子」が現れるのかもしれない。
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