怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

増え続ける髪の毛 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

俺は潔癖症というほどではないが、部屋の掃除はきちんとする方だ。

特に、髪の毛が落ちているのが嫌だった。

だから毎朝、掃除機をかけ、コロコロで床を念入りに掃除する。

なのに――

最近、異常なほど髪の毛が落ちている。

それも、自分の髪ではない長い黒髪が。

第一章:どこから来る髪の毛?

最初は、外から持ち込んだのかと思った。

だが、掃除しても掃除しても、翌朝にはまた床に黒髪が落ちている。

しかも、日に日に量が増えている。

「こんなに抜けるわけがない……。」

俺は短髪だし、家には俺しかいない。

なのに、髪の毛は毎日増え続ける。

まるで、どこかから湧いてきているように。

第二章:髪の毛の発生源

ある日、どこから髪の毛が出てくるのか突き止めようと決意した。

部屋中を調べる。

風呂場、洗面台、ベッドの下――

だが、どこにも髪の毛の束のようなものは見つからない。

「おかしいな……。」

そう思いながらふと天井を見上げた瞬間、ゾッとした。

エアコンの吹き出し口から、黒髪が垂れ下がっていた。

第三章:髪の毛の正体

恐る恐るエアコンのカバーを開けると、そこには――

ありえないほど大量の黒髪が詰まっていた。

どこまでも伸びるような長さの髪。

ふわりと空気に舞い上がる髪の毛。

「……な、なんだこれ……。」

ぞわっと鳥肌が立つ。

俺は慌てて髪の毛を掴み、引っ張った。

すると、髪の毛はズルズルと奥から出てくる。

いや、これは……

誰かの頭皮ごと繋がっているんじゃないか?

そんな気がして、思わず手を離した。

その瞬間――

エアコンの奥から、何かが息を吐いた音がした。

第四章:姿を現したもの

慌ててカバーを閉じ、後ずさる。

しかし、エアコンの隙間から、髪の毛が少しずつ伸びてくる。

「……お前、誰だ……?」

俺がそう呟いた瞬間――

髪の毛の間から、青白い顔が覗いた。

それは、俺をじっと見ていた。

口がゆっくりと開く。

そして、かすれた声で囁いた。

「返して……」

結末:終わらない恐怖

俺はその日、部屋を飛び出した。

数日後、管理会社に頼んでエアコンを取り替えてもらった。

しかし、業者がカバーを開けたとき、驚いた顔でこう言った。

「……特に異常はありませんよ?」

あの大量の髪の毛は、どこへ消えたのか。

だが、それ以降も――

俺の部屋には、毎朝髪の毛が落ち続けている。



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