目次
忘れられた神社
大学の夏休み、俺は地元の友人タカシとケンジの三人でドライブに出かけた。
目的もなく走っていたが、山奥の細い道を進むうちに、寂れた廃墟のような場所にたどり着いた。
そこには、崩れかけた鳥居と、半ば倒れかけた石の階段があった。
「……神社か?」
「こんな場所にあるなんて、変じゃね?」
鳥居の向こうには、ボロボロになった社殿が見える。
屋根は一部崩れ、扉は外れている。
「おい、やめとけって。こういうの、なんかヤバそうだろ。」
ビビる俺を無視して、タカシとケンジはずんずん登っていく。
仕方なく、俺も後を追った。
廃墟の社殿
神社の境内は、雑草に覆われていて、何年も人が来ていないことがわかる。
「お前ら、マジで入るのかよ。」
タカシが笑いながら扉の前に立つ。
「せっかく来たんだし、見ていこうぜ。」
ケンジが先に中へ入る。
仕方なく、俺も続いた。
中は真っ暗だった。
窓は破れ、床は抜けかけている。
そして、社殿の奥には、異様な光景があった。
並ぶ無数の人形
壁際に、無数の日本人形が並べられていた。
どれも埃をかぶっているが、不思議ときれいな状態を保っていた。
「……なに、これ。」
俺たちは言葉を失った。
その時——
「……見つかった……」
小さな声が聞こえた。
「え?」
誰も喋っていない。
なのに、確かに聞こえた。
すると——
人形の目が、カクンとこちらを向いた。
「うわっ!」
俺たちは一斉に外へ飛び出した。
逃げられない
全力で階段を駆け下りる。
車に戻ろうとしたが——
「……道がない?」
来たはずの道が、森に埋もれて見えない。
「嘘だろ? さっきここ、普通に通ってきたよな!?」
辺りを見回しても、元の道が見つからない。
それどころか、さっきまで廃墟だった神社が、妙に綺麗になっている。
崩れかけていた屋根も、外れていた扉も、元通りになっている。
「……おい、どうなってるんだよ。」
すると、社殿の中から——
カタ……カタ……カタ……
人形の並んでいた場所から、何かが動く音が聞こえた。
「やばい、やばい!!」
俺たちは目の前の森へ向かって走った。
戻ってきたのに……
どれくらい走ったかわからない。
ようやく元の道に戻り、車に乗り込んだ。
「早くここを出よう!」
エンジンをかけ、急いでその場を離れる。
町に戻り、ホッとした俺たちは近くのコンビニに入った。
冷たい飲み物を買い、一息つく。
「いや……マジでやばかったな……。」
「二度と行かねぇ。」
「……ん?」
俺はふと、タカシの背中を見てゾッとした。
タカシのシャツの背中部分が、黒く手形のように汚れていた。
「お前、背中……なんかついてるぞ。」
「え?」
鏡を見たタカシが、顔を真っ青にした。
「これ……おれの手の大きさじゃねぇ。」
その手形は——
子供の手、いや人形の手の大きさだった。
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