目次
【プロローグ】
大学の友人 タケル が、肝試しに行こうと言い出した。
「山の奥に廃墟になった神社があるらしいんだよ。ヤバいって噂だけど、行ってみようぜ。」
そんな話を聞いて、最初は気が進まなかった。
だが、他の友人も乗り気で、結局断りきれずに参加することになった。
夜の8時、車で山道を進み、目的の場所へと向かう。
街灯もない細い道を抜けた先に、それはあった。
ボロボロの鳥居、崩れかけた拝殿、荒れ果てた参道――。
まるで何かに忘れられたかのような、廃墟の神社だった。
【神社の違和感】
神社に足を踏み入れた瞬間、異様な静けさに気づいた。
「なんか、空気が変じゃね?」
「鳥の声もしねえな……。」
風も吹いているのに、木々のざわめきすら聞こえない。
まるで音が吸い込まれているような感覚だった。
「まあまあ、せっかくだし奥まで行ってみようぜ。」
タケルが先頭に立ち、俺たちは仕方なく後をついていった。
そのとき――。
足元に何かが転がっていた。
「うわっ、なんだこれ……?」
――お札だった。
しかも、何十枚も地面に散らばっている。
どれも破れ、ボロボロになっていた。
「……やめた方がいいんじゃないか?」
俺がそう言うと、タケルが笑った。
「怖がりすぎだろ! ちょっと拝殿を見たら帰るって!」
そして、彼は崩れかけた階段を上がり、本殿の扉を押し開けた。
【本殿の中】
懐中電灯で照らすと、本殿の中は荒れ果てていた。
朽ちた木の床、崩れ落ちた天井、風化した神棚――。
「……何もねえな。」
そう呟いた瞬間、
「ガサッ……」
奥の暗闇で、何かが動いた。
「……?」
懐中電灯の光を向けると、そこには――
"誰か"がいた。
【神社の住人】
それは、人の形をしていた。
だが、顔がなかった。
否――顔の部分が、ただの黒い穴になっていた。
黒い着物をまとった、異形の存在。
「……!!」
声にならない悲鳴を上げたその瞬間――
そいつが、一歩、こちらへ踏み出した。
「アァァァァ……」
耳をつんざくような音が響き、体がすくんだ。
「逃げろ!!」
タケルが叫び、俺たちは一斉に神社を飛び出した。
【後を追う影】
息を切らしながら階段を駆け下りる。
後ろを振り返ると――
影が、追ってきていた。
それは地面を滑るように動き、黒い穴のような顔をこちらに向けている。
「来るな!!」
必死に走り、鳥居を越えた瞬間――
音が、消えた。
追ってきていたはずの影も、いつの間にかいなくなっていた。
振り返ると、そこにはただの古びた神社が静かに佇んでいた。
俺たちは無言のまま車に飛び乗り、アクセルを踏んだ。
【エピローグ】
次の日、タケルから連絡が来た。
「……変なことが起きてる。」
「どうした?」
「今朝、家の前にお札が落ちてたんだよ。」
俺は言葉を失った。
「しかも、昨夜のあの神社で見たのと同じやつだ。」
それから数日、タケルは体調を崩し、学校に来なくなった。
彼の家に行こうとしても、誰も出てこない。
そして――
一週間後、タケルは行方不明になった。
【もしも……】
廃墟となった神社には、何かがいる。
それは、ずっと誰かを待っているのかもしれない。
そして、一度でも足を踏み入れた者を、決して忘れない。
もし、あなたが誰もいないはずの神社を見つけたら――
決して、近づいてはいけない。
「そこには、まだ"何か"がいる」かもしれないから。
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