怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

読後、悪夢を見る本 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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古本屋で見つけた一冊

その本を見つけたのは、たまたま立ち寄った古本屋だった。

狭い店内には、年季の入った本がぎっしりと並び、独特の古紙の匂いが漂っている。

俺は何気なく背表紙を指でなぞりながら、気になる本を探していた。

すると、一冊だけ不自然に目立つ本があった。

表紙は無地でタイトルもない。

なのに、妙に手に馴染む感覚があり、気づけばレジへ持って行っていた。

「……それ、本当に買うの?」

店主の老婆が、まじまじと俺の顔を見つめた。

「え? まあ……気になったので」

「……そう」

老婆は何も言わず、無言で本を包んでくれた。

その時は、特に気に留めなかった。

しかし、その本を読んだ夜から、俺は悪夢に苦しめられることになる。

夢の中の“男”

本の内容は、どこかで聞いたことがあるような怪談話ばかりだった。

都市伝説の寄せ集めかと思いながらも、妙に惹き込まれてしまい、一気に読み進めてしまった。

そして、その夜。

俺は奇妙な夢を見た。

暗い部屋の中、ベッドに横たわる俺を見下ろす“誰か”がいた。

全身が黒くぼやけたシルエットの“男”。

顔はよく見えない。

しかし、俺の耳元で低く、はっきりとこう囁いた。

「読んだな」

瞬間、全身が金縛りにあったように動かなくなった。

男は、じっと俺を見下ろし続ける。

そして、次の瞬間――

俺は息ができなくなり、目を覚ました。

連夜続く悪夢

翌日も、その翌日も、悪夢は続いた。

夢の内容は毎回違うが、必ず“あの男”が出てくる。

・暗い廊下の奥でじっとこちらを見つめている。
・電車の窓に映る俺の後ろに立っている。
・ドアをノックする音がするが、開けると誰もいない。

そして毎回、最後には耳元で囁く。

「読んだな」

俺はどんどん衰弱していった。

寝ても疲れが取れず、日中でもふとした瞬間に“男”の気配を感じるようになった。

これはもう、ただの夢ではない。

そう確信した俺は、あの古本を処分しようと決めた。

返すべき場所

古本屋へ本を持ち込むと、店主の老婆はじっと俺を見つめ、

「……持ってきたのね」

と呟いた。

「これ……やっぱり、変な本ですよね?」

「読んでしまったの?」

俺が頷くと、老婆は小さくため息をついた。

「この本はね、“読んだ人の悪夢を閉じ込める本”なのよ。あなたが見た悪夢も、きっとこの本に記録されたわ」

「じゃあ、これを返せば……」

「ええ、もう悪夢は見ないでしょう。でも――」

老婆が何か言いかけた瞬間、店の奥から“コツ、コツ……”と足音が聞こえた。

誰もいないはずの暗がりから、何かがこちらをじっと見ている。

「まだ、読んでしまった人がいるのね」

老婆の言葉と同時に、俺は強烈な寒気に襲われた。

もう二度と、あの店には近づかないと心に誓った。



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