目次
プロローグ
「霊子降臨って、知ってるか?」
大学時代の友人・Kが、久しぶりに会った俺にそう聞いてきた。
Kはオカルト好きだったが、社会人になってからはそんな話をすることもなかった。
「何それ?」
俺が軽く聞き返すと、Kは少し口ごもってから、静かに語り始めた。
「……あんまり興味本位で聞かない方がいいかもしれないけどな。」
その夜、Kが語った話は、俺の人生で一番ゾッとする体験 となった。
第一章:霊子降臨の噂
Kの話によると、「霊子降臨」とは古い降霊術の一種らしい。
ただの心霊術ではなく、霊の「素粒子」まで呼び寄せ、完全な姿として降臨させる 儀式だという。
「普通の降霊術ってのは、声を聞いたり、気配を感じたりする程度だろ? でも、霊子降臨は違う。ちゃんとした『形』として霊を降ろすんだ。」
それを聞いて、俺は笑ってしまった。
「なんだよ、それ。映画の話か?」
だが、Kは真顔のままだった。
「実際にやったんだよ、俺の知り合いが。」
その表情を見て、俺は笑うのをやめた。
「……で、どうなったんだ?」
第二章:降臨の儀式
Kの知り合いのNという男が、興味本位で霊子降臨の儀式を試した。
方法はこうだ。
密閉された部屋で、誰も入れないようにする。
中央に鏡を置き、その前に白い紙を敷く。
紙の上に黒い墨で『霊子降臨』と書く。
鏡に映る自分の目を見ながら、ひたすら「霊よ、ここに降りよ」と唱え続ける。
「それを30分くらい続けると、鏡に違和感が現れる らしいんだ。」
Nが儀式を始めてしばらくすると、鏡の中の自分の顔が少しずつ歪んできた。
最初は錯覚かと思ったが、次第に顔の一部が変化していく。
鼻が伸び、口の形が変わり、目が黒く沈んでいく――
そして、ある瞬間。
Nの映る鏡の中に、もうひとつの顔が現れた。
第三章:儀式の代償
「それって、後ろに何かが映ったってことか?」
俺が尋ねると、Kは首を振った。
「いや……Nの顔の一部が、別の顔に変わったんだよ。」
まるで、自分の顔の中に別の誰かの顔が入り込んでいるように。
Nは恐怖のあまり、鏡を割った。
しかし、その瞬間、鏡の破片ひとつひとつに、その『顔』が映り込んでいた。
慌てて破片をかき集めて捨てたが、翌日からNの様子がおかしくなった。
第四章:消えない顔
Nは、夜中に誰もいないのに会話を始めたり、突然立ち止まって何かをじっと見つめたりするようになった。
極めつけは、Nの部屋に遊びに行ったKが見たものだった。
「……Nの顔がさ、別人みたいになってたんだよ。」
まるで、Nの皮膚の下に誰かの顔がうっすらと透けている ようだった。
Nは鏡を見るたびに怯えるようになり、ついには家から一歩も出られなくなった。
そしてある日――
Nは失踪した。
最後に残っていたのは、部屋の床に書かれた「霊子降臨」 の文字。
結末:俺に残されたもの
Kは話し終え、ため息をついた。
「……だから、お前も絶対にやるなよ。」
「当たり前だろ。そんな気味の悪い儀式、やるわけない。」
冗談めかして答えたが、内心はゾッとしていた。
家に帰り、ふと洗面所の鏡を見る。
Nが見たという「異変」はどんなものだったのか。
俺は、じっと鏡を覗き込み、慌ててやめた。
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