目次
【プロローグ】
俺は、人間が嫌いだ。
他人と関わるのが面倒で、できるだけ一人で生きていたい。
会社勤めなんて絶対に無理だから、在宅でできる仕事をしている。
買い物も基本的にネット。
人と会話するのは、週に一度のコンビニの店員との「袋いりますか?」のやりとりくらい。
それでも特に困ることはなかったし、この生活に満足していた。
だが、ある日――
「この世界には、俺しかいない」
そんな状況になってしまった。
【誰もいない街】
朝起きて、ふと違和感を覚えた。
窓の外が異様に静かなのだ。
いつもなら聞こえるはずの車の音や、人の話し声がない。
「……まあ、どうでもいいか。」
俺は特に気にせず、適当に朝飯を済ませ、いつものように仕事を始めた。
だが、昼になっても、夜になっても、外は不気味なほど静かなままだった。
不安になり、コンビニへ行くことにした。
外に出ると、街は異様な光景になっていた。
信号は動いている。
電気もついている。
だが――
人が、一人もいない。
【無人の世界】
「なんだこれ……?」
スマホを取り出し、SNSやニュースを確認する。
しかし、どのページも更新が止まっている。
試しに友人(ほとんど連絡を取っていないが)に電話をかけても、誰も出ない。
どこかの店に入ってみても、商品はそのまま残っているのに、店員がいない。
誰かが急にいなくなったというより、最初から誰も存在していなかったような感じがした。
「……まさか、世界で俺だけが取り残された?」
そう思った瞬間――
遠くの方で、何かが動いた。
【"何か"はいる】
それは、人間のような形をしていた。
だが――
顔が、見えない。
黒い靄のようなものが顔の部分にまとわりつき、表情が全く分からない。
そいつはゆっくりと歩いていた。
こちらには気づいていないようだったが、なぜか本能的に関わってはいけない気がした。
俺は静かにその場を離れ、家へと戻った。
「やばい世界に来たのかもしれない……。」
だが、そんなことより――
「人間がいないなら、最高じゃないか?」
【完璧な生活】
それから数日、俺はこの"世界"を満喫した。
コンビニやスーパーに行けば、好きなだけ食料を持ち帰れる。
静かな街で、誰にも邪魔されずに過ごせる。
完璧な生活だ。
そう思っていた。
あの"何か"が、徐々に増えていくまでは。
【増えていく"影"】
ある夜、気まぐれに街を散歩していると、ふと違和感を覚えた。
「……なんか、増えてないか?」
あちこちで、"顔のない人影"が歩いていた。
最初は数体だったのが、今では何十体もいる。
しかも、徐々に俺の住んでいるアパートの方へ近づいている気がする。
嫌な予感がして、翌日から外出を控えた。
だが――
夜になると、俺の部屋のドアの前で"何か"がじっと立っている。
【人間嫌いの行き着く先】
ドアの覗き穴から見ても、顔は黒い靄で覆われていて見えない。
そいつらは何もせず、ただ静かに立っているだけだった。
だが、俺はわかっていた。
「あいつらは、人間がいなくなった世界で"俺だけ"を見つけたんだ。」
それから何日も、影たちはドアの前に立ち続けた。
俺は外に出られなくなり、家の中でじっと過ごした。
最初は人間嫌いで、誰にも会いたくなかった。
だが、今は――
「誰か、助けてくれ……!」
そう叫びそうになるのを、必死にこらえた。
【エピローグ】
ある日、目を覚ますと――
元の世界に戻っていた。
街には人が戻り、いつもの騒がしさが戻っていた。
ニュースを見ても、俺が体験したような異変は何も報じられていない。
あれは夢だったのか?
だが――
俺のスマホには、一件のメッセージが残されていた。
「次は、もっと"深い場所"で待ってる。」
送り主は、不明。
もし、あなたが「人間が嫌い」と思っているなら――
本当に"誰もいない世界"に取り残される覚悟があるか?
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