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人間嫌いの男が見つけた“理想の世界” 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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孤独を愛する男

俺の名前は斎藤。40代半ば、独身、友人ゼロ。

社会人として最低限の仕事はしているが、基本的に人付き合いは嫌いだ。

無駄話も、職場の飲み会も、親戚づきあいもすべて拒否している。

週末は決まって一人。食料をまとめ買いし、あとは部屋にこもって映画や読書を楽しむ。

「人間なんて面倒くさいだけだ」

そう思いながら生きてきた。

奇妙なサイト

ある日、ネットで暇つぶしをしていると、ふと目に留まる広告があった。

「人付き合いに疲れたあなたへ——理想の世界をご用意しました」

俺は興味本位でクリックした。

すると、「完全予約制」と書かれたページが表示された。

そこには、こう書かれていた。

『この世界に疲れた方へ——あなたに最適な環境をご提供します』

料金はたったの1000円。

正直、怪しいと思ったが、興味が勝った。

試しに申し込みをしてみた。

目が覚めると、そこは——

数日後、申し込み先から封筒が届いた。

中には小さなカードが入っていた。

「このカードを枕元に置いて寝てください」

ますます胡散臭い。

だが、どうせ大したことは起きないだろうと、そのまま枕元に置いて眠った。

——そして、目を覚ますと、そこは見たことのない場所だった。

完璧な世界

気がつくと、俺は広大な草原に立っていた。

どこまでも続く青空、心地よい風、澄み切った空気。

だが、何よりも驚いたのは——人間がいないことだった。

まるで世界に俺一人しかいないような静寂。

「……理想的だ」

都会の喧騒も、他人の気配もない。

嫌な人付き合いをする必要もなく、心の底から安らげる。

俺はその世界をさまよいながら、この上なく快適な気分を味わった。

違和感

しかし、次第に違和感が生じた。

太陽は動かず、時間の流れが感じられない。

そして、俺の足跡以外、何一つ変化がない。

さらに、どこまで歩いても風景が変わらないことに気づいた。

草原を進んでも、どこへ行っても同じ景色。

「……出口は?」

次第に不安が押し寄せる。

もしかして、このまま——永遠にここから出られないのか?

「ようこそ」

突然、背後から声がした。

振り返ると、そこには黒いローブをまとった人物が立っていた。

「あなたはこの世界を選びました」

低く響く声。

「おめでとうございます。あなたはもう、人間と関わる必要はありません」

俺は震えながら尋ねた。

「……ここは一体、なんなんだ?」

「“選ばれた者”だけが来る場所です」

ローブの人物は続けた。

「あなたは、人間が嫌いだと言いましたね」

「ええ……それがどうした?」

「ならば、ここは理想の世界です」

俺は息を呑んだ。

たしかに、ここには人間がいない。

俺が求めた完璧な世界だ。

だが——

永遠に、この世界から出られないとしたら?

目覚め

次の瞬間、俺は自分の部屋のベッドで目を覚ました。

「……夢?」

枕元を見ると、あのカードは消えていた。

だが、不思議なことに、俺の靴の裏には草がついていた。

「……まさか」

あれは本当に夢だったのか?

それとも——俺は、一度“選ばれかけた”のか?

あの世界の静寂を思い出すたびに、ゾッとする。

もしもう一度、あのカードが届いたら……

次こそ、本当に戻れなくなるかもしれない。



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