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廃村の家々に貼られた無数のお札――逃げ遅れた者の末路 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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友人との深夜ドライブ

その日、俺は大学時代の友人・Kと深夜のドライブを楽しんでいた。

目的もなく、ただ気の向くままに車を走らせるのが俺たちの息抜きだった。

「この先、山道入るけど行ってみる?」

Kが助手席でスマホの地図を見ながら言う。

「面白そうだな。行ってみようぜ」

俺たちは軽いノリで、未舗装の細い山道へと入っていった。

しばらく進むと、周囲は深い森に囲まれ、街灯もなくなった。

「なんか、雰囲気あるな」

「だな……ん?」

Kがフロントガラス越しに何かを指差した。

視線の先に、朽ち果てた集落があった。

朽ち果てた廃村

道の先に、十数軒の家が並んでいた。

だが、それらはすべて崩れかけており、人が住んでいる気配はまるでない。

「廃村か?」

「みたいだな……」

不気味な静寂が支配するその村に、俺たちは引き寄せられるように足を踏み入れた。

だが、すぐに異変に気づいた。

「……おい、なんだこれ」

Kが声を潜めた。

村の家々には、すべてのお札が無数に貼られていた。

扉、窓、壁、屋根――至る所にお札が貼られている。

普通、神社や寺で見るような「魔除け」のお札なら、古くなってボロボロになっているはずだ。

しかし、ここに貼られたお札は、比較的新しい。

村に残る"何か"

「……気味悪いな」

「帰るか?」

Kがそう言いかけたとき、背後でバサッという音がした。

振り向くと、一枚のお札が剥がれて地面に落ちていた。

「……今、剥がれたよな?」

「ああ……」

剥がれたお札を拾い上げると、そこには何かを封じるような文字が書かれていた。

「おい、もう帰ろうぜ」

Kの声には焦りがにじんでいた。

その時――

カタン……カタン……

村の奥の方から、かすかな音が聞こえてきた。

風で何かが揺れたのか?

だが、風なんて吹いていない。

俺たちは、音のする方を見た。

そして――

暗闇の中、ひとつの家の入口に"誰か"が立っていた。

逃げ遅れた者の末路

Kが小さく息を呑む。

俺も言葉を失った。

そいつは異様にやせ細った身体をしていた。

肌は灰色がかり、顔には無数の爪痕のような傷があった。

何より――目がない。

目の部分はただの黒い窪みになっている。

「ヤバい……」

Kが小さくつぶやいた瞬間、そいつがゆっくりと首を傾げた。

そして、口を開いた。

「――たすけて」

かすれた声だった。

それは、泣き声のようにも、笑い声のようにも聞こえた。

次の瞬間、そいつがガクンと首を傾けた。

"こちらを見ようとするように"。

「走れ!!」

Kの叫びと同時に、俺たちは車へ向かって全速力で駆け出した。

背後からは、ザッザッザッと何かがこちらへ迫る音が聞こえる。

何かを封じる村

俺たちは何とか車に乗り込み、急発進させた。

「ヤバいヤバいヤバい!!」

Kは震えながら叫び続けた。

バックミラーを見ると、村の入り口でそいつが立ち止まっていた。

まるで、「ここからは出られないぞ」と言いたげに。

だが、その瞬間――

村の家々に貼られた無数のお札が、一斉にバタバタと音を立てて揺れた。

その途端、そいつは苦しそうに頭を抱え、その場に崩れ落ちた。

村は"何か"を封じていたのだ。

もし、お札が剥がれていたら?

もし、俺たちがもう少し長くあの村にいたら?

考えたくもなかった。

廃村のその後

後日、俺たちはあの村について調べた。

そこは30年前に廃村となった場所だった。

原因は、原因不明の失踪事件。

村の住人が次々と姿を消し、最後の住人が残した言葉が――

「あいつが……帰ってきた……」

やがて村は封鎖され、残された家々には封印のお札が貼られたのだという。

俺たちが見たものは何だったのか。

あの「目のない者」は何なのか。

今となっては、知る術はない。

ただ、もしも――

またあの村に行くことがあれば、今度は「お札がすべて剥がれた」状態かもしれない。

その時、あの"何か"がどうなるのかは……想像するだけでゾッとする。



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