目次
【プロローグ】
その事件を知ったのは、何気なく見ていたネットの掲示板だった。
《未解決事件「桜ヶ丘アパート失踪事件」を知ってるか?》
そんなスレッドタイトルに目が留まった。
桜ヶ丘アパート――
どこかで聞いたことがある。
スレッドを開くと、こんな書き込みがあった。
「2004年、桜ヶ丘アパートの住人が一晩で消えた事件。知ってる?」
「深夜2時、住民6人が跡形もなく消えた。部屋の中には財布もスマホもそのまま。」
「防犯カメラには、住人が全員ドアを開け、外へ出ていく姿が映っていた。」
「しかし、その後は誰も映っていない。」
「どこへ行ったのか、いまだにわからない。」
――2004年の未解決失踪事件。
気になった俺は、さらに調べてみることにした。
【桜ヶ丘アパートの奇妙な噂】
ネット上には、この事件に関する不気味な噂がいくつも書かれていた。
・住人が消えた夜、近所の人が「全員一列になって歩いていくのを見た」と証言している。
・しかし、その方向には行き止まりの崖しかない。
・「深夜2時にアパートの前を通ると、誰もいないはずなのに部屋の灯りが点く」
怖くなったが、好奇心には勝てず、実際に桜ヶ丘アパートへ行ってみることにした。
【現場へ】
桜ヶ丘アパートは、都内の外れにあった。
ネットの地図を頼りに現場へ向かう。
アパートはすでに廃墟になっていたが、建物自体はまだ残っていた。
ドアや窓は封鎖され、立ち入り禁止の札がかかっている。
「……本当にここで6人が消えたのか。」
夕方に訪れたため、辺りはまだ明るかった。
特に何も起こらなかったが、ふとある書き込みを思い出した。
「深夜2時に行くと何かが起こる」
【深夜2時】
怖かったが、どうしても確かめたくなり、その夜の深夜2時にもう一度アパートの前へ行った。
月明かりに照らされた廃墟。
あたりは静まり返っている。
「……何もないか。」
そう思った瞬間――
パチッ
突然、アパートの一室の明かりが点いた。
「……!!」
誰もいないはずなのに、窓から人影が見えた。
だが、それは"普通の人"ではなかった。
【異形の何か】
窓に映っていたのは、真っ黒なシルエットの何かだった。
人間の形をしているが、顔の部分がまるで影のように真っ黒で、何も見えない。
それが、ゆっくりとこちらを見ている。
「やばい……!」
逃げなければと思ったが、身体が動かない。
その時――
ドアの鍵がカチャッと開いた音がした。
アパートの入り口が、ゆっくりと開いていく。
そして――
「……おいで」
耳元で、誰かの声がした。
【エピローグ】
気がつくと、俺はアパートの前で倒れていた。
スマホの時計を見ると、深夜3時を回っていた。
「……?」
何が起こったのか、よく覚えていない。
だが、一つだけ確かなことがあった。
「おいで」と囁いた声が、今も頭の中で反響している。
俺は、桜ヶ丘アパートを後にした。
そして、家に帰ってから再び掲示板を見て、息を呑んだ。
《桜ヶ丘アパート失踪事件》のスレッドが、すべて消えていたのだ。
まるで、最初からそんな事件など存在しなかったかのように。
しかし、確かに俺はあの場所へ行った。
そして――
「おいで」と囁かれた。
俺がもし、あの時扉の中へ入っていたら――
きっと今ごろ、俺も未解決事件の一部になっていたのかもしれない。
もし、あなたが未解決事件について調べることがあったら――
絶対に、実際の場所へ行ってはいけない。
あなたも、“未解決のまま”消えてしまうかもしれないから。
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