目次
白霧岳という山
東北地方の某県に、「白霧岳(しらきりだけ)」という山がある。
標高は約1500メートル。登山ルートは整備されておらず、地元の人々の間では「軽い気持ちで登ってはいけない山」として知られている。
特に、登山者の間で囁かれる噂がある。
「白霧岳を登ると、何かを試される」
そして――
「その試練に耐えられなかった者は、二度と戻れない」
登山者たちの奇妙な体験
白霧岳は公式の登山ルートこそ存在しないが、地元の登山愛好家たちが何度も挑戦している。
しかし、その誰もが「必ず何かしらの奇妙な体験をする」と証言している。
例えば――
◇ 過去に犯した罪を暴かれる
ある男性が登ったときのこと。中腹まで来たところで、目の前に霧が立ち込めた。
すると、霧の中からかすかに「人の声」が聞こえてきた。
「……どうして……逃げたの……?」
聞き覚えのある声だった。
彼は昔、ある事故の現場を目撃しながらも、怖くなって何もせずにその場を立ち去ったことがあった。
その事故で亡くなった女性の声にそっくりだった。
彼は恐怖のあまり、無我夢中で下山したという。
◇ 亡くなったはずの人と出会う
別の登山者の話では、山頂付近で見知らぬ老人に出会ったという。
老人は山道の岩に腰かけ、優しく微笑んでいた。
「よくここまで来たね」と声をかけられたが、登山者はその顔に見覚えがあった。
それは、10年前に亡くなった祖父だった。
「おじいちゃん……?」
そう声をかけると、老人はにっこり笑いながらこう言った。
「ここで迷ったらいけないよ。帰る道をよく見るんだ」
驚いて目をこすった次の瞬間、老人は消えていた。
気がつくと、自分が歩いてきた道が見たこともない森の奥へと続いていた。
登山者は慌てて引き返し、なんとか下山できたが、もしあのまま進んでいたら――戻れなかったかもしれない。
試練に打ち勝つと、何かを得る
白霧岳には恐ろしい噂が多いが、一方で「試練に耐えた者には、何かを与えてくれる」という伝承もある。
例えば――
ある登山者は、長年疎遠になっていた家族との絆を取り戻した。
ある登山者は、仕事で行き詰まっていたが、下山後に不思議と解決策が浮かんだ。
ある登山者は、夢の中で見続けていた「ある場所」が、白霧岳のどこかに実在していたと気づいた。
白霧岳は、訪れた者に「自分自身と向き合う試練」を与える山なのかもしれない。
霧がかかった時が、境界
白霧岳には特有の気象現象がある。
「突然、濃い霧が立ち込めたら、それは『山の試練』が始まる合図」
霧の中で聞こえてくる声、見たことのない風景、そして自分の過去を突きつけられる体験。
それらに正面から向き合い、逃げずに乗り越えた者だけが、山を無事に下りることができる。
だが、耐えきれずに恐怖のあまり道を誤った者は――
「白霧岳のどこかで、霧の一部となり、次の登山者を迎える存在になる」
というのが、地元に伝わる言い伝えだ。
もしあなたが白霧岳を訪れ、登山中に急に霧が濃くなったら――
どうか、気をつけてほしい。
その霧の向こうで、あなたを待っている「試練」があるかもしれないから。
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