目次
突然の体調不良
ある日、俺の親友・Kが突然仕事を休んだ。
「なんか熱が出てさ。病院行ったけど、原因がわかんねぇんだよ」
Kは電話越しにぼやいていた。
風邪かと思ったが、数日経っても回復しない。
むしろ、どんどん悪化しているらしい。
「熱だけじゃなくてさ、手足が異常にだるいんだよ。力が入らないっていうか……」
俺は心配になり、Kの家へ見舞いに行くことにした。
Kの異変
Kのアパートに着くと、玄関前に古びた新聞がいくつも散らばっていた。
数日間、外に出ていないのだろう。
インターホンを鳴らすと、しばらくしてKが出てきた。
だが、俺は思わず息をのんだ。
Kの顔色は異常なほど青白く、目の周りには濃いクマができていた。
頬もこけ、まるで何週間も絶食していたようなやつれ方だった。
「お前、大丈夫かよ……?」
Kは力なく笑い、部屋へ招き入れた。
中に入ると、異様な臭いがした。
埃っぽく、湿った土のような臭い。
「部屋、換気しろよ……」
「……窓、開けてもすぐ閉まるんだよな」
Kはボソッとつぶやいた。
部屋に広がる異様な気配
Kの部屋はカーテンが閉め切られ、ほとんど光が入っていなかった。
テーブルの上には飲みかけのポカリスエットや薬の袋が散乱している。
「病院、行ってるのか?」
「ああ……でも、検査しても何も出ないんだよな。医者も首をかしげててさ」
Kはそう言いながら、何かを気にするように背後を振り返った。
「……なんかいるのか?」
俺がそう聞くと、Kは一瞬、顔をこわばらせた。
そして、しばらく沈黙した後、小さな声で言った。
「……誰か、いる気がするんだよ」
「は?」
「ずっと、後ろから見られてるような感覚がある。でも振り向くと、何もいない」
俺はゾクリとした。
Kの部屋には俺とKしかいない。
なのに、背筋が妙に寒い。
夢の中の影
「最近、変な夢を見るんだ」
Kは続けた。
「夢の中で、俺はどこかの病室にいるんだよ。でも、そこに俺以外にも誰かいる」
「誰かって?」
「……わかんねぇ。でも、俺のすぐそばで、じっとこっちを見てるやつがいる。」
Kはそう言うと、震える指で腕をまくった。
そこには、黒ずんだ手形のような痕がついていた。
「寝てる間に、誰かに掴まれたみたいな感じなんだよな……」
俺は言葉を失った。
ついに見てしまったもの
それから数日後、Kから再び連絡が来た。
「ヤバい。もうダメかもしれない……」
声が異様にかすれている。
俺はすぐにKのアパートへ向かった。
ドアをノックすると、すぐに鍵が開いた。
だが、俺はその場で凍りついた。
Kの背後に、何かがいた。
それは、黒い影のようなものだった。
Kの肩にしがみつき、まるでKの体に入り込もうとしているかのように。
俺は反射的に後ずさった。
Kが苦しそうに顔を歪める。
「……助けてくれ」
だが、俺は何もできなかった。
Kはその日を境に行方不明になった。
その後
警察に捜索願を出したが、Kの行方はわからないままだ。
Kの部屋には、荷物がそのまま残っていた。
そして、一つだけ異様なものがあった。
Kのベッドの枕元に置かれていた、黒く変色したカルテのような紙。
そこには、見覚えのない病名が書かれていた。
「侵蝕性寄生病(しんしょくせいきせいびょう)」
俺は今でも、それが何を意味するのかわからない。
ただ、Kが最後に言った言葉だけが、今も耳に残っている。
「……あいつ、どこかの病室でまだ俺を待ってる気がするんだよな」
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