目次
不可解な違和感
俺の名前は田中翔太。
ごく普通の会社員として、毎日ルーチンワークに追われる生活を送っている。
しかし、ある日を境に、妙な違和感を覚えるようになった。
最初は些細なことだった。
「お前、昨日の会議の資料、どうだった?」
同僚の山田がそう聞いてきたが、俺は資料をもらった記憶がない。
「え? どの資料?」
「おいおい、冗談だろ? 昨日の夕方、お前に渡したじゃん」
山田はあきれたように笑ったが、俺には本当に記憶がない。
だが、デスクの上には、確かにその資料が置かれていた。
省略される日常
そんな些細な違和感は、その後も続いた。
・覚えのないメールの返信をしていた
・見た覚えのない映画の感想を話していた
・知らない間に家の掃除が終わっていた
まるで、俺の記憶の一部が省略されているような感覚だった。
最初は単なる疲れかと思っていたが、日に日に頻度が増していく。
ついには、朝起きたら会社にいたことすらあった。
決定的な瞬間
そしてある日、決定的な出来事が起こった。
仕事り、定時で帰宅。
夕飯を作り、テレビを見て、ベッドに入った。
「さて、そろそろ寝るか……」
そう思った瞬間、視界が一瞬、ノイズのように乱れた。
次の瞬間、俺は電車の中にいた。
「……は?」
座席に座り、スーツ姿でスマホをいじっている。
まるで、時間が飛んだかのようだった。
慌ててスマホの時計を見る。
「翌日の朝 7:30」
寝る前から、10時間以上が省略されている。
消えた時間の真相
俺は恐怖に駆られながら、会社に向かった。
クに座ると、PCの画面に見覚えのないフォルダがあった。
開くと、そこには大量の動画ファイルが保存されていた。
震える手で、再生する。
映っていたのは、俺だった。
夜中の俺が、無表情で部屋を歩き回っている。
スマホを操作し、パソコンで何かを打ち込んでいる。
やがて、俺はPCの画面に向かって話し始めた。
「記録を省略する……余計な記憶は不要……」
画面の中の俺が、何かを呟くと同時に、映像が途切れた。
俺は本当に俺なのか
俺は、この数週間の記憶がすべて本物なのか始めた。
俺は本当に、自分の意思で動いているのか?
俺の知らない時間に、何をしているのか?
翌日、パソコンを開くと、あのフォルダは消えていた。
そして、メールの下書きに、一行だけメッセージが残されていた。
「これ以上、知るな」
それ以降、俺の「省略される記憶」はピタリと止まった。
だが、今も時々考える。
あの期間、俺は何をしていたのか。
そして、もし再び「省略」が始まったら――
次は、俺自身が完全に消えてしまうのではないか。
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