目次
プロローグ
俺の叔父は、ちょっと変わった人だった。
昔からパソコンやデジタル機器に詳しく、家には大量の古いPCやHDDが積み上げられていた。
しかし、数年前、叔父は突然亡くなった。
死因は急性心不全。
病気の兆候もなかったのに、まるで何かに追い詰められたように――。
葬儀が終わり、遺品整理をしていたときのことだった。
俺は、奇妙なノートパソコン を見つけた。
そのパソコンは、画面の端に何かが貼り付けられていた。
――それは、ボロボロになった「お札」だった。
第一章:パスワードの封印
「なんだよ、これ……。」
お札が貼られたパソコンなんて、見たことがない。
叔父はオカルトには無縁の人間だったはずだ。
それなのに、なぜこんなものを?
興味本位でパソコンを開くと、ログイン画面が表示された。
「パスワードを入力してください」
当然ながら、パスワードは分からない。
叔父の誕生日や名前を試してみたが、どれも違う。
しかし、よく見ると、画面の下に奇妙な一文 が表示されていた。
「パスワードを解くな」
まるで、俺に警告するかのようなメッセージだった。
第二章:封印を解く
そんな警告を無視して、俺はパスワードの解析を試みることにした。
叔父が使いそうな単語を何通りも入力し、ようやく突破の糸口を見つけた。
パスワードは――
「ふういん」(封印)。
「なんだこれ、冗談か?」
そう思いながらエンターキーを押した瞬間、
お札がパソコンから剥がれ落ちた。
同時に、画面が一瞬ノイズに包まれたかと思うと、見慣れないフォルダが開いた。
そのフォルダの名前は――
「いま みている」
俺は、ゾッとした。
第三章:開いてはいけないデータ
恐る恐るフォルダを開くと、無数のファイルが並んでいた。
それらのファイル名は、どれも日付だった。
「2003-07-15」
「2008-12-02」
「2015-06-24」
何かの記録だろうか?
適当にひとつ開くと、中にはぼやけた写真 が入っていた。
最初は何の画像か分からなかったが、よく見ると――
それは俺の部屋の写真 だった。
「……は?」
俺は慌てて次のファイルを開いた。
そこに映っていたのは、俺が寝ている姿だった。
しかも、最近のものだ。
「ふざけんな、どういうことだよ……!」
手の震えが止まらない。
叔父は、俺の部屋を盗撮していたのか? いや、そんなはずはない。
だが、最大の問題は――
この写真が撮られた時期、叔父はすでに亡くなっていたということだ。
第四章:見られている
パソコンの画面が急に暗くなり、真っ黒な背景に白い文字が浮かび上がった。
「お前も見られている」
瞬間、耳元で何かが囁くような音がした。
ビクッと肩を震わせ、慌てて周囲を見渡す。
しかし、誰もいない。
次の瞬間、画面がフッと元に戻り、フォルダは消えていた。
何が起きたのか理解できないまま、俺はパソコンの電源を切った。
だが――
パソコンの画面が暗くなる直前、画面の隅に何かが映っていた。
それは、ぼんやりとした「黒い影」 のようなものだった。
まるで、俺の背後に立っているかのように。
結末:再び封印
俺は震える手で、お札を拾い上げた。
そして、迷うことなく、もう一度パソコンに貼り付けた。
お札を戻した瞬間、画面がバチバチと音を立て、パソコンは完全に沈黙した。
その後、俺はそのパソコンを誰にも言わずに処分した。
しかし、それ以来、ふとした瞬間に視線を感じることがある。
そして、夜になると――
スマホの通知が表示されることがある。
「パスワードを解くな」
叔父は一体、何を封じ込めようとしていたのか。
そして、俺はそれを解いてしまったのか。
もう二度と、あのパソコンのことを思い出したくはない。
だが、今も時々――
俺の部屋のどこかから、カタカタとキーボードを叩く音 が聞こえてくる。
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