怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

ヘッドライトに浮かぶ影 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ:山道の帰り道

それは、友人のKと一緒にドライブをしていたときの話だ。

その日、俺たちは夕方から山奥にあるキャンプ場へ向かい、夜遅くなってから帰路についた。

山道は真っ暗で、頼れるのは車のヘッドライトだけ。

俺は慎重にハンドルを握りながら、Kと何気ない会話をしていた。

しかし――

下り坂のカーブを曲がった瞬間、ヘッドライトの先に異様なものが映った。

第一章:ヘッドライトに映るもの

それは、道の真ん中に立つ「人影」だった。

全身真っ黒な服を着た人間が、こちらを向いて直立している。

ヘッドライトの光を浴びているのに、顔だけがはっきり見えない。

「やばい……!」

俺は急ブレーキをかけた。

Kも息を飲んだが、次の瞬間――

その影はフッと消えた。

「え……?」

Kと顔を見合わせるが、何もいない。

確かに、そこに「誰か」がいたのに。

第二章:背後のヘッドライト

気味が悪いが、とにかくこの山道を抜けようと車を走らせる。

すると、Kが急に言った。

「おい、後ろ……車、ついてきてないか?」

バックミラーを見ると、一台の車が後方から迫ってきていた。

ヘッドライトが異常に眩しく、まるで俺たちの車を狙うようにピッタリとついてくる。

「煽ってきてるのか?」

速度を落とすと、相手も速度を落とす。

逆にスピードを上げると、相手も同じ速度で追いかけてくる。

「おかしい……何なんだよ、あれ。」

次第に不安が募っていく。

しかし、バックミラーをもう一度よく見ると――

そこには、 ヘッドライトの光しか映っていなかった。

車体が見えないのだ。

光だけが、追いかけてくる。

第三章:消えたヘッドライト

心臓がバクバクする。

こんな状況はあり得ない。

俺たちは町へ抜ける一本道を急いだ。

「とにかく、早くこの道を出よう!」

Kが叫び、俺はアクセルを踏み込む。

しかし――

ヘッドライトが突然、消えた。

「……え?」

後ろを振り向くと、闇しかなかった。

さっきまでの強烈な光が、まるで最初から存在しなかったかのように消えていた。

「……何だったんだ?」

Kと俺は、ただ無言で山道を抜けることしかできなかった。

第四章:町へ戻ってからの違和感

ようやく明るい町の道へ入ったとき、俺たちはホッと息をついた。

「もう変なもんはいないよな……。」

しかし、ふと違和感があった。

フロントガラスに、何かの跡が残っている。

よく見ると、それは無数の手の跡だった。

俺たちは、一気に血の気が引いた。

あの「光」は、一体何だったのか。

俺たちの車を追いかけていたものは、本当に「車」だったのか――?

そして、もしブレーキを踏んでしまっていたら……?

もう二度と、夜の山道には行きたくない。

なぜなら――

「ヘッドライトに映るもの」には、見てはいけないものが含まれているかもしれないから。



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