大学時代の夏、友人の田中と夜中のドライブを楽しんでいた。
田舎の方まで車を走らせ、人気のない山道を抜ける。
「こういう道って、心霊スポットとかありそうだよな。」
助手席の田中が、軽いノリで言った。
「怖いこと言うなよ。山道で事故ったらシャレにならん。」
そう返しながらも、俺は慎重にハンドルを握っていた。
だが、その時――
ヘッドライトの先に、人影が浮かび上がった。
目次
暗闇に立つ者
山道のカーブの先、道路脇に誰かが立っている。
「……こんな時間に?」
不審に思いつつも、スピードを落として近づく。
ヘッドライトが完全に照らし出すと――
そこには白い服を着た女性が立っていた。
長い髪を垂らし、うつむいている。
夜中の山道に、一人で佇む女性。
「……なんか、やばくないか?」
田中が息をのむ。
俺も直感的に関わってはいけないと感じた。
「無視して行くぞ。」
俺はスピードを上げ、その場を通り過ぎた。
だが――
ルームミラーを見ると、女性の姿が消えていた。
映るはずのないもの
「おい、今の見たか?」
「……ああ。でも、考えすぎだろ。」
気味が悪かったが、無理やり自分を納得させようとした。
だが、その時――
ヘッドライトが、一瞬チカチカと点滅した。
「……え?」
何かの故障か?
そう思った次の瞬間――
ヘッドライトが再び照らし出した道路に、さっきの女性が立っていた。
「うわああ!!」
急ブレーキをかける。
だが、そこには誰もいなかった。
ヘッドライトに浮かぶ影
「マジでやばいぞ、これ……。」
田中が青ざめた顔で言う。
俺もパニックになりながら、何とか冷静を保とうとした。
「車の故障かもしれない。どこか明るい場所まで行こう。」
だが――
ヘッドライトがまた点滅した瞬間、田中が絶叫した。
「後ろ! 後ろ見ろ!!」
ルームミラーを覗くと――
後部座席に、あの女が座っていた。
消えない存在
恐怖で思考が停止する。
だが、気づけば女はもういなかった。
「……気のせいだった?」
そう思いたかったが、異変は続いた。
それからしばらく走る間、ヘッドライトが照らし出す先に、何度も彼女が現れた。
直線道路でも、カーブの先でも、常に光の中にいる。
まるで――
「ヘッドライトが、彼女を映している」
そうとしか思えなかった。
最後の点灯
ようやく山道を抜け、人気のある道路に出たとき。
ヘッドライトが、ふっと消えた。
「……!」
慌ててハザードをつけ、車を路肩に停める。
何とかエンジンを切り、深呼吸した。
「……もう、いないよな?」
田中と顔を見合わせ、安堵する。
するとヘッドライトが点灯した。
そして、ヘッドライトの反射で、車のボンネットに映るものを見てしまった。
そこには、黒ずんだ手形が無数についていた。
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