目次
夜の山道で見たもの
俺が大学時代のことだ。
地元の友人たちと夜にドライブをするのが恒例だった。特に深夜の峠道を走るのが楽しかった。
その日も、友人のAとBを乗せて山道を走っていた。
「この道、ちょっと雰囲気あるよな」
「まぁな。でも心霊スポットとかじゃないだろ?」
そんな話をしながら山の中を走っていると、突然、前方の木々の間に光るものが見えた。
ふわり……と浮かぶ小さな光の玉。
「なんだ、あれ?」
「ホタル……じゃないよな」
ホタルにしては大きすぎるし、妙に青白い。
その光の玉は、フワフワと浮かびながら俺たちの車の進行方向へと動いていた。
ついてくる光
「気味悪いな……」
俺はスピードを上げた。
だが、光の玉は車と同じ速度でついてくる。
しかも、徐々に数が増えてきた。
最初はひとつだったのに、気づけば三つ、四つと光が浮かび、車の周りを囲むように漂っていた。
「ヤバくないか?」
「……引き返したほうがいい」
AとBの声が緊張に満ちていた。
俺は急いでUターンしようとした。
そのとき——
突然、光の玉が車のフロントガラスに向かって飛んできた。
衝突と衝撃
「うわっ!」
思わずブレーキを踏んだ。
光の玉はフロントガラスに当たる寸前でふっと消えた。
「……え? どこ行った?」
次の瞬間——
「後ろ!!」
Bの叫び声でルームミラーを覗いた。
そこには……大量の光の玉が車の後ろから追いかけてきていた。
「逃げろ!!」
俺はアクセルを踏み込んだ。
だが、光の玉は追いかけてくるどころか、一つずつ車の中に入り込んでくる。
「……え? なんで?」
光が車内を舞う。
そして、それが消えた瞬間——
後部座席に座っていたBがいなかった。
消えた友人
「……B? おい、どこ行った!?」
Aも後部座席を振り返り、顔を青ざめていた。
「さっきまでここにいたのに……!」
俺は慌てて車を止め、Bを探そうと外に出た。
しかし、そこには誰もいなかった。
山道には俺とAだけ。Bの姿はどこにもない。
どれだけ叫んでも、返事はなかった。
仕方なく俺たちは警察に通報した。
しかし——
警察が捜索しても、Bは見つからなかった。
「彼が乗っていた証拠はあるんですか?」
警官にそう聞かれたが、Bの荷物も、スマホも、Bがそこにいた痕跡は一切なかった。
Aと俺が何を言っても、「そもそもBという友人は本当にいたのか?」と疑われる始末だった。
そして、今も……
あれから数年経つが、Bは未だに行方不明のままだ。
俺もAも、間違いなくBと一緒にいたことを覚えている。
だけど、Bの家族は言った。
「B? そんな人、うちにはいませんよ」
Bの写真も、過去の記録も、一切残っていなかった。
まるで——最初からこの世界に存在しなかったかのように。
最近、俺の家の窓の外に小さな光の玉が浮かんでいるのを見た。
もしかしたら、Bはまだどこかにいるのかもしれない——。
でも、今度は俺の番なのかもしれない。
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