ある朝、目が覚めると全身が異様に重かった。
風邪だろうか? そう思いながらも、仕事があるので無理やり体を起こす。
だが、違和感はそれだけではなかった。
「……あれ?」
鏡を見ると――
自分の顔が、ほんの少しだけ違って見えた。
目次
少しずつ変わる顔
腫れぼったいのか、むくんでいるのか、いつもの自分と微妙に違う。
「寝起きだからか?」
そう思ってそのまま出勤した。
しかし、その日から異変が続いた。
毎日、顔が少しずつ変わっていく。
誰かに似ていく
最初は気のせいだと思っていた。
だが、数日後、同僚の田中が俺を見て首をかしげた。
「お前……なんか顔変わった?」
「え?」
「いや、なんかさ……誰かに似てる気がするんだよな……。」
田中はしばらく考え込み――ハッとした顔をした。
「……あ、鈴木課長に似てないか?」
言われて、ゾッとした。
確かに、最近の俺の顔は鈴木課長に似てきている。
皮膚の異常
それからさらに数日後、顔だけでなく、手のシワの形や爪の形まで鈴木課長に似てきた。
これは、ただのむくみや気のせいではない。
明らかに、俺の顔と体が「誰か」に近づいている。
怖くなり、病院に行った。
だが、医者は首をかしげるだけだった。
「遺伝子異常もないし、皮膚移植の形跡もない……。ただ――」
「ただ?」
「皮膚細胞が、まるで他人のものに“書き換えられている”みたいなんです。」
変化の加速
翌朝、目が覚めた時――
俺の顔は、完全に鈴木課長と同じになっていた。
鏡に映るのは、俺ではない。
鈴木課長の顔。
「嘘だろ……?」
震える手でスマホを取り、インカメラを起動する。
だが、そこに映っていたのは――
俺ではなく、鈴木課長そのものの姿だった。
ニュースで知ったこと
その日の夜、テレビのニュースを見て、俺は凍りついた。
「本日未明、会社員の鈴木○○さん(45)が自宅で急死しました。」
鈴木課長が、亡くなった――?
では、今、俺の顔になっているこの姿は、一体何なんだ?
そして翌日――
俺の姿を見た会社の人間は、誰も俺を“俺”だと認識しなかった。
「課長、どうしたんですか? 具合悪そうですね。」
誰も、俺を“俺”として見てくれない。
俺は――
「鈴木課長」になってしまったのか?
消えた自分
帰宅後、家族に電話をした。
「もしもし、母さん?」
「……どなたですか?」
「俺だよ、○○(俺の名前)だ!」
だが、母は戸惑った声で言った。
「○○は……先週、事故で亡くなったんです。」
「は?」
意味がわからない。
スマホのニュースを調べると、そこにはこう書かれていた。
「会社員の○○さん(30)、事故で死亡」
「……俺は、死んだ?」
俺の存在が、誰かに書き換えられたのか?
いや、それとも――
「俺」という存在が、“誰か”に乗っ取られたのか?
終わりの始まり
翌日、会社に行くと、新しい新人が入ってきた。
その男の顔を見た瞬間――俺は言葉を失った。
俺の“元の顔”をしていた。
そして、彼がにやりと笑い、俺に囁いた。
「今度は、俺の番だからな。」
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

